「涙をぼろぼろ流しながら書いた」 百田尚樹が『永遠の0』ラストシーン執筆時に聴いていた曲とは 〈BOOKSTAND〉|AERA dot. (アエラドット)

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「涙をぼろぼろ流しながら書いた」 百田尚樹が『永遠の0』ラストシーン執筆時に聴いていた曲とは

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今年12月に、岡田准一主演での映画公開を控える320万部の『永遠の0』や、160万部の本屋大賞受賞作『海賊とよばれた男』などで知られるベストセラー作家・百田尚樹さん。2月の本屋大賞受賞後、初の単行本『至高の音楽〜 クラシック 永遠の名曲』が刊行となりました。



本書は、月刊誌『一個人』と『Voice』誌上での連載「覚醒するクラシック」を一冊にまとめたもの。ベートーヴェン、バッハ、モーツァルト、ショパンなど、人類の歴史に名を刻んだ名作曲家の楽曲を、聴きどころから名曲誕生の背景、後世に残る名演の紹介など存分に語り尽くしています。



百田さんがクラシック音楽を真剣に聴き始めたのは、19歳の頃。以来30年以上にわたって、ほぼ毎日のように聴いているそうです。きっかけは、大学1回生の夏にアルバイトで稼いだお金でオーディオセットを購入し、下宿に置いたこと。実家に帰省した際、「クラシックも一つぐらいダビングしてみよう」と手に取ったのが、ベートーヴェンの第三交響曲「エロイカ(英雄)」でした。



「エロイカ」の録音がなかなかうまくいかず、5回続けて録音しながら「エロイカ」を聴くはめになった百田さん。はじめは「どこが頭やら尻尾やら分からなかった曲」が、繰り返し聴き続けることで、次第に全体像が見えてきたのだと言います。



「そして−−−その時は不意に訪れた。それまで幾度聴いても何も感じなかった私の心に、突然、すさまじい感動が舞い降りてきたのだ。『なんや、これは!』と思った」



「それまで霧の中に隠れていて何も見えなかった巨人が目の前に立っていた。私はその偉大な姿をただただ呆然と見つめているだけだった。これが、私がクラシック音楽に目覚めた瞬間だった。今まで音楽で感動したことはいくらでもあった。しかしベートーヴェンの感動は、これまで一度も味わったことのないほど、激しく、深いものだった」



『モンスター』執筆時に繰り返し聞いたのは、ラヴェルの「夜のガスパール」。人間の男に恋した水の精オンディーヌは、『モンスター』に登場するレストランの名前になりました。また、オオスズメバチの世界を描いた小説『風の中のマリア』の登場人物の名前のいくつかは、オペラの大作であるヴァーグナーの「ヴァルキューレ」から借りています。クラシック音楽は、これほどまでに百田作品に影響を与えているのです。



それでは、デビュー作『永遠の0』執筆時に聴いていたのは、どのような曲なのでしょうか。本書の中で、特別に明かしています。



エピローグのラストシーンを書いている最中に、エンドレスリピートで聴いていたのは、マスカーニの歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲。小説を読んでいない方にとっては「ネタバレ」になるため、詳細は割愛しますが、百田さんは執筆時をこう振り返っています。



「恥ずかしい話を白状すると、私はこの場面を涙をぼろぼろ流しながら書いた。キーボードを叩く指にも涙がぼたぼたと落ちた。パソコンのモニターに映る字がぼやけるたびに目をこすった。何度も何度も書き直し、そのたびに泣いた」



本文から溢れるのは、百田さんのクラシックに対する限りない愛情と、その曲を生み出した芸術家へのリスペクト。作家だからこそ分かる、名曲誕生までの苦しみと喜びが、熱い百田節でつづられています。


(記事提供:BOOK STAND)

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