安倍元首相の国葬で追悼の辞を述べる岸田首相(代表撮影)
安倍元首相の国葬で追悼の辞を述べる岸田首相(代表撮影)

 故・安倍晋三首相の政権運営に一貫して物申してきた自民党の大ベテラン、村上誠一郎・元行革相(70)。安倍元首相を「国賊」と発言し、1年間の党役職停止処分を下された村上氏が本誌の取材に応じ、「岸田(文雄)首相は安倍元首相の踏襲ばかりで、本人には何もない」と言い切った。

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 防衛費GDP比2%の増額だが、一番の問題はなぜ2%かという積算根拠が全然示されていないこと。特にロシアのウクライナ侵攻で急に2%と言いだしたんだけれども、それは果たして妥当なのだろうか。まず一番最初に、アメリカと中国が台湾有事で本当に激突するのか、考えなくてはなりません。

 今回のウクライナ侵攻で、世界中が学習した。もしアメリカと中国が激突したら、世界中が大混乱になる。私はまずそういうことは起こらないと思うし、起こってはいけない。万々が一、衝突の危険性が出たら今度は日本はアメリカと共同歩調をとって、中国と対立するのではなくて、アメリカと中国の仲介の労を取って必死の思いで、アメリカと中国がぶつからないような外交努力をすべきだ。それをやった上で、どうすべきかの判断だ。しかし、日本には外交努力、外交戦略が全く見られない。

 結論を言うとまず憲法の問題がある。憲法9条が専守防衛ということでやってきた。矛と盾、盾は自衛隊で日本国内を守る。矛についてはアメリカに任せる。それをなぜに日本が矛と盾を急に両方やらなくてはいけないんだ。岸田首相は訪米後のインタビューで「アメリカのミサイルと戦闘機を買うんだ」と述べた。何を考えているのか。パトリオットやトマホークを買って本当に防衛力強化になるのか。

 党の防衛族と話していて、中国や北朝鮮のミサイル基地の場所を知っているのか聞いてみたら、みんな「正確には知らない」という。場所も特定できないのに、ミサイルだけ買い込む意味があるのか。情けないなあと思ったのは、兵器の寿命は10年なんです。戦争が起こらなかったら、新しい兵器を買い込まなくてはいけない。そういう生産性のないことに、なんで無駄な攻撃機を増やすのか。最初から2%ありき、それも増税でやると。

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