森永:人柄がいいので、共演者に好かれるんです。遅刻もしません。いつも腕時計を5分早めています。「一緒にロケする人の名前を忘れちゃいけない。失礼だから」って、ギリギリまで確認する。このあたりは、認知症になる前もなってからも変わらないですね。
――タレントの有吉弘行さんが「認知症だからって、テレビに出ちゃダメなのか」と局に掛け合ってくれたり、司会の東野幸治さんが持ち味を引き出してくれたり、テレビ出演の依頼は続く。
森永:最近、絵のタッチが変わったんです。前衛的になったんですよ、ピカソみたいに。
悠加:ゆくゆくは展覧会もしてみたいと、絵を描きためています。
――「PLAN75」を観た悠加さんは年齢的に死を身近に感じるようになったこともあり、最初の場面からずっと涙が止まらなかったという。
悠加:認知症の人が外出するときは、どうしてもサポートする人が必要です。そんなとき、家族だけでなく、さまざまな人と助け合える社会になるといいなと思います。
蛭子:死ぬことは一番嫌い。何の儲けもない。社会は年々変わっていくんだから、何とかなると思うな。
(医療ジャーナリスト/介護福祉士・福原麻希)
※週刊朝日 2023年2月10日号