最新の若者言葉
最新の若者言葉

ギャル」「脳死」「草」「希ガス」……。どれも普通の言葉に思えるが、実は、若者だけに通じる別の意味があるんです。あなたはいくつ分かりますか? 意外に深~い“若者言葉”の真実を、言葉のプロとともに、真剣に考察してみました。

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 冒頭で紹介した言葉は、いずれも進路情報などを発信する「高校生新聞」が調査した「中高生の間で流行する最新『若者言葉』」。「ギャル」は気分がノリノリになったときに使い、逆に「脳死」は疲れているときに使う。ほかにもたくさんあるので、詳しくは表をご覧ください。

 若者言葉は日々生まれているが、そもそもなぜ新しい言葉を作るのか。

「若者には彼らの心情に適(かな)う言葉が必要なんだと思います」

 と語るのは、日本語学者で杏林大学外国語学部の金田一秀穂名誉教授だ。

「彼らは、大人たちが使っている言葉は自分たちの気持ちをうまく表していない、何かが違うという違和感を常に抱いています。それは、どの世代も同じ。私は1953年生まれですが、上は全共闘世代で『総括』や『ナンセンス!』などの言葉を使っていました。私たちの世代は『かっこいい』などでしたね」

 金田一氏の印象に残っている若者言葉は「沼る」だそう。

「大人たちが作り出す言葉に比べて、親しみが持てて好きですね。『沼る』はハマるという意味ですが、私は『沼になんかいたくないよ』と思いますけど、若者の感覚ではこれがいいんですね」

 若者言葉を言語変化の観点から研究している宇都宮大学の堀尾佳以(けい)講師も肯定的に捉える。

「最近聞いたのが『前髪の治安が悪い』。前髪のセットがうまくいっていないことを表すそうです。それから『生きるwww』。これは、嫌なことがあったときに『死ぬ』の代わりに使う言葉で、前向きに状況を捉えようとする気持ちが表れています。彼らの言語的なセンスにはいつも驚かされます」

 だが若者言葉は「言葉の乱れ」として、批判の対象となることが多い。

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唐澤俊介

唐澤俊介

1994年、群馬県生まれ。慶應義塾大学法学部卒。朝日新聞盛岡総局、「週刊朝日」を経て、「AERAdot.」編集部に。二児の父。仕事に育児にとせわしく過ごしています。政治、経済、IT(AIなど)、スポーツ、芸能など、雑多に取材しています。写真は妻が作ってくれたゴリラストラップ。

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