「温熱作用を効率よく高めるには、入浴剤を使ったほうが絶対にいい。特に加齢で皮膚が薄くなって肌トラブルが増えるのですが、入浴剤を使うと水道水に含まれる塩素の刺激を和らげることができます。おすすめの入浴剤は、(1)血管を広げてくれる炭酸ガス系入浴剤、(2)香りがよく保温効果の高いアロマのバスオイル、(3)生薬の力で温熱効果をより高める薬湯です」

(週刊朝日2022年4月8日号より)
(週刊朝日2022年4月8日号より)

 (1)は、湯に溶け出した炭酸ガスが血管を広げ、温められた血液が全身をめぐりやすくなる。

「炭酸濃度の高いものがおすすめ。溶けるまで時間がかかるので、服を脱ぐ前にお湯に入れ、溶かし切ってから湯船に入りましょう」

 (2)は、香りでリラックスでき、副交感神経が優位になりやすくなる。

「アロマオイルなど天然精油入りのものを選んで。人工香料は同じ香りが続きますが、天然だと時間の経過とともに香りも変化。それが嗅覚(きゅうかく)へのいい刺激になります」

 (3)も、(1)と同様の血管拡張効果に加え、筋肉や関節など、凝り固まった部分を和らげる効果が期待できる。

「凝った部分は血管が収縮していることが多く、血管が広がれば痛みも軽減できます。薬草は独特の香りで、嗅覚へのいい刺激になります」

 それぞれ特色があるが、小林さんはさまざまな入浴剤を常備し、気分や体調によって使い分けてほしいと考えている。

「温熱効果が一番高いのは炭酸ガス系なので、一日外出しないなど活動量が低い時におすすめ。アロマ系はやはりイライラやストレスなど心の不安定さを感じた時に。足腰が痛いとか、体がだるいと感じた時は薬湯を」

 寒さが少しずつ和らぎ、湯船につかる時間が短くなる時期だ。しかし、短時間の入浴やシャワーだけでは深部体温がしっかり上昇しないため、良質な睡眠のためにも湯船につかることは通年で習慣化したほうがよさそうだ。

「夏は就寝の約1~2時間前、冬は30分~1時間前に風呂から上がるようにすると眠りやすくなります。熱くて湯船につかりたくない時は、メントール入りの入浴剤を入れると、40度のお湯もつかりやすくなります」

 入浴剤を上手に活用して入浴の質を高めることができれば、睡眠の質が向上し、さらには健康にもいい影響を及ぼしはじめる。まずは好きな入浴剤を見つけてみよう。(ライター・吉川明子)

週刊朝日  2022年4月8日号