松尾貴史さん(撮影/写真部・高野楓菜)
松尾貴史さん(撮影/写真部・高野楓菜)
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 山藤章二さんからバトンを引き継ぎ、松尾貴史(旧芸名・キッチュ)さんが、今号から「週刊朝日似顔絵塾」(グラビア)の新塾長になった。タレント、俳優、コラムニスト、折り紙で顔を表現する「折り顔」作家でもある。田原総一朗、大島渚、野坂昭如らをひとりで演じるパロディー「朝までナメてれば」では、ものまねされた大島さんが、

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「もう俺は要らなくなったと思うほど似ている」

 と嘆いていた。

 山藤さんとは長く親交がある。最初に会ったのは約35年前。山藤さんがプロデュースする演芸会に出演者として呼ばれた。

「『キッチュさんのものまねは流行らないよね』ってまず言われました(笑)。安易にデフォルメせず、デッサン力が必要なので、簡単にまねができないから流行らないと。けなしたのか、褒めたのかわからないけど、善意に解釈しました」

 大阪芸術大デザイン学科の学生時代から、山藤さんと和田誠さんはあこがれの存在だった。

「同じ人物を描いても印象が全く違い、でも両方とも似てる。お二人の絵、センスは勝手に僕を育ててくれたと思っています。和田さん、奥さんの平野レミさんに『俺より松尾君のほうが絵がうまい』と言ってくれたそうです(笑)。山藤さんは何も言わないけど」

 山藤さんとはその後、テレビやラジオでよく共演する機会があり、落語や俳句の友だった。

「落語を一緒に鑑賞し、落語家の悪口を句会で言い合う。談志師匠が参加されることもあった。山藤さんにとって談志師匠は盟友、戦友、ライバル、親友だった人ですね」

 松尾さん自身、似顔絵はよく描いてきた。

「高校時代、学祭のときに先生の絵を全部描き、“個展”をしたら、先生たちは『こんなんじゃない』って怒ってた。生徒が『似てる』という先生ほど、怒ってましたね」

 似顔絵塾では今後も山藤路線を継承したいと考えている。

「マイナーチェンジはあり得るかもしれませんが、投稿者や読者が持っている愛着や期待を裏切らない方向でいったほうがいいかなとは思います。ただ、『塾』という言葉のニュアンスには二つあると思っています。ひとつは技術的なこと、表現力を評価しなきゃいけない。もうひとつは、これから芽生えるだろうなという物の見方も大事にしたい」

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