井上:なが~く、止まってなかったね!

堂本:そうそう。ずーっと走ってないと、という感じで生きてきたので、そういう意味ではいいきっかけになりました。それと、午後9時以降働きたくないな、と思うようになって。ハハハ!

井上:光一くん、起きるの午後2時くらいなのに! 動いてる時間がどんどん短くなってる(笑)。

──20代から帝国劇場で座長を務め、重圧と闘ってきたという共通点も。

堂本:プレッシャーを受けて放てるものの大きさや、乗り越えたときの喜びを、僕も芳雄くんも知っていて。その喜びって、ほかでは経験できない快感だと思うんですよ。追い込んで、追い込んで、そこから生まれる爆発。この方法でしか、お客さんを感動させることができないので。でも、それが単純に好きなんです。

井上:僕は何度も失敗や空回りを経験してきましたが、続けるうちに見えることは多くなったと思います。できるだけ平常心でいたいとは思っていますが、ずっと同じことをしているほうが怖いという感覚もありますね。

堂本:作品が違えば役が違うし、同じ役でも毎日発見がある。日々新鮮な気持ちで、違う仕事ができるというのは、この仕事が持っている独特でぜいたくなところだと思います。そもそもほかの仕事だったら、僕みたいな生活してたら怒られちゃいますけどね(笑)。

井上:そうだと思うよ! 2時に起きたら怒られますよ、ホントに(笑)。

──ジョン・ケアードさんが「アーサイト(堂本)とパラモン(井上)は、お互いをうらやんでいる」と話していたとか。実際に、うらやましいと思うところはある?

堂本:うらやましいと思うことはなかったかな。

井上:僕もそうですね。

堂本:ただただ、リスペクトというか。芳雄くんが歩んできた人生、やってきた仕事、そして持っている実力も。うらやましいっていうより、それは芳雄くんの努力だから、リスペクトするという感覚のほうが強いかな。

井上:変な表現ですが、「好ましいな」と思ってます(笑)。「ナイツ・テイル」で演じたり、一緒に仕事でニューヨークに行ったりして、同じ時間を過ごせば過ごすほど「好ましさ」が増すというか。あえて「友人」と呼びますが、この年になって友達ができて、しかも同業者で同じような立場って、もう信じられないくらい幸運ですよね。

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