沢口靖子 (撮影/遠崎智宏)
沢口靖子 (撮影/遠崎智宏)
「科捜研の女 -劇場版-」の一シーン。仕事に信念を持ち、決して諦めないマリコの姿が沢口さんに重なる (c)2021「科捜研の女 -劇場版‐」製作委員会
「科捜研の女 -劇場版-」の一シーン。仕事に信念を持ち、決して諦めないマリコの姿が沢口さんに重なる (c)2021「科捜研の女 -劇場版‐」製作委員会

 大人気ドラマ「科捜研の女」の劇場版がいよいよ公開される。ヒロイン・榊マリコを演じる沢口靖子さんに、役とともに重ねてきた俳優人生を振り返ってもらった。

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 取材場所に現れた沢口さんの、スッとした姿勢、凜とした佇まいはまさに“榊マリコ”そのものだった。対面するとその美しさにたじろぐが、物腰はたおやかにして優しい。手書きで細かく書かれたメモを片手に、丁寧に質問に答えてくれる。全身から真摯な人柄がにじみ出るようだ。

 ドラマ「科捜研の女」のスタートは1999年。沢口さん演じる京都府警科学捜査研究所(科捜研)の法医研究員・榊マリコは同僚や刑事とともに、最先端の科学捜査で数々の事件を解決してゆく。

「マリコのものの考え方が理系なところ、正確さや規則正しさを重視するところは自分に似ているなあと感じます。私も割ときっちりした性格なので。マリコはシリーズ当初、無条件に科学を信じているところがありましたが、小林稔侍さん演じる木場刑事に『犯罪だけじゃなく、人を見ろ』と教わったこと、またさまざまな人と出会うなかで、人を優しく見つめる女性に成長してきていると感じます」

 まじめで一本気ながら、その振る舞いや言動がどこかコミカルに転じるのもマリコの魅力だ。劇場版にはおなじみの個性的な登場人物たちが勢ぞろいし、内藤剛志さん演じる土門刑事との掛け合いはもはや長年連れ添う夫婦のようにもみえる。

「土門刑事とマリコはお互い使命感、価値観が一致しているんです。事件が起きるたびにお互いの信頼や尊敬の気持ちが高まっていると感じます。恋愛に発展することはないのかな……と私は思っていますが、マリコにとっては心許せる存在なので、観ているみなさんをやきもきさせてしまうのかなと思います(笑)。内藤さんはとても気さくな方で、知識も豊富で、懐も深い方。現場でもコミュニケーションをたくさん取りながら、シーンでの心情を膨らませています」

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