監督 ヤスミラ・ジュバニッチ/9月17日からBunkamuraル・シネマほか全国順次公開/101分 (c) 2020 Deblokada / coop99 filmproduktion / Digital Cube / N279 / Razor Film / Extreme Emotions / Indie Prod / Tordenfilm / TRT / ZDF arte
監督 ヤスミラ・ジュバニッチ/9月17日からBunkamuraル・シネマほか全国順次公開/101分 (c) 2020 Deblokada / coop99 filmproduktion / Digital Cube / N279 / Razor Film / Extreme Emotions / Indie Prod / Tordenfilm / TRT / ZDF arte
監督 ヤスミラ・ジュバニッチ/9月17日からBunkamuraル・シネマほか全国順次公開/101分 (c) 2020 Deblokada / coop99 filmproduktion / Digital Cube / N279 / Razor Film / Extreme Emotions / Indie Prod / Tordenfilm / TRT / ZDF arte
監督 ヤスミラ・ジュバニッチ/9月17日からBunkamuraル・シネマほか全国順次公開/101分 (c) 2020 Deblokada / coop99 filmproduktion / Digital Cube / N279 / Razor Film / Extreme Emotions / Indie Prod / Tordenfilm / TRT / ZDF arte

 1992年に勃発し95年末に終結するまで、20万人の犠牲者を出したボスニア紛争。中でも「スレブレニツァ・ジェノサイド」と呼ばれる戦後ヨーロッパ最悪の虐殺事件を描き、アカデミー賞国際長編映画賞にノミネートされた「アイダよ、何処へ?」。

【場面写真の続きはこちら】

 ボスニア紛争末期の1995年7月11日、東部の街スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって陥落。避難場所を求めるおよそ2万人にも及ぶ市民が、街のはずれにある国連施設に殺到した。

 国連保護軍の通訳として働く元教師のアイダ(ヤスナ・ジュリチッチ)は、夫と2人の息子を、半ば強引に施設に招き入れるが、街を支配したムラディッチ将軍(ボリス・イサコヴィッチ)の率いるセルビア人勢力は、国連軍との合意を一方的に破り、避難民の“移送”とおぞましい処刑を開始する。国連職員としての職務を全うしながらも、愛する家族と同胞たちの命を守るために、アイダはあらゆる手を尽くそうと、施設の内外を奔走するのだが──。

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
ナチスのユダヤ人虐殺さながらのセルビア人による他民族大量殺戮、ヤル気のない国連軍。その中、家族を守ろうと必死の女性通訳の身勝手にも思える行動を見るうちに、日々の恐怖が人を身勝手にするのは当然、と思えてきた。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
家族や同胞と国連保護軍の間で板挟みになる通訳だからこそ見える切迫した状況に圧倒され、彼女のわらにもすがる思いに打ちのめされる。国連の無力さだけでなく、国連保護軍に潜む偏見まで描き出しているところが深い。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★
90年代にこんなことがあったとは。観ていてずっとつらかったです。気づくと眉間にシワを寄せていました。静かな時間にある普通の日常会話、キスやハグがどれだけ幸せか。同じ人間なのになぜこうもなる。知るべき事実。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
これは凄い。極度の緊迫感からストレスを感じるかもしれないが、現実に起きて歴史に刻まれたことである。ヘヴィな内容だが知っておくべきことだし、作品として本当に素晴らしく、映画が成し得る一つの到達点だろう。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2021年9月10日号