左から二階幹事長と菅首相ら自民党幹部(C)朝日新聞社
左から二階幹事長と菅首相ら自民党幹部(C)朝日新聞社

 菅義偉首相が約5か月ぶりに安倍晋三・前首相とサシで面談したことが永田町で憶測を呼んでいる。菅首相は3月29日午前、首相官邸から衆院議員会館の部屋に出向き、安倍氏と約50分に渡り、2人っきりで面会した。

 首相官邸に戻ると、「訪米するので意見交換した」と記者団を煙に巻いたが、「衆院解散についても話したんだろう」(野党幹部)との憶測が一斉に流れた。

「挨拶だけで、すぐに出てくるのかと思ったら、話し込んでいた。解散じゃないかと憶測を呼んでマスコミの数は膨れ上がり、安倍さんの部屋の周辺に30人は超える記者が詰めかけた」(政治部記者)

 一方、安倍氏は菅首相との会談が終わると10分ほどで記者団を振り切って議員会館を離れた。

 その後、自民党本部で二階俊博幹事長が記者会見。野党が内閣不信任案を出す動きを牽制し、解散にこう言及した。

「ただちに解散して立ち向かうべきだという進言を(菅首相に)したいと思います。解散に打って出る覚悟を持っています。私に解散の権限はないが、(野党が)衆議院の解散、総選挙を望むなら、受けて立ちます」

 その後、自民党の衆院議員から筆者に送られてきたメモには、次のように記されていた。

【5月23日総選挙説】

4月中にデジタル庁法成立させ、28日(水)or30日(金)に衆議院解散。

5月11日(火)衆院選挙告示

5月23日(日)投開票

6月2日(水)特別国会召集、首班指名、組閣

6月18日(金)衆参本会議※所信演説 

6月21日(月)衆本会議※代表質問

6月22日(火)参本会議※代表質問、衆本会議※代表質問

6月23日(水)参本会議※代表質問、沖縄慰霊の日

6月25日(金)東京都議選告示

7月4日(日)東京都議選

7月23日(金)オリンピック開幕――。

 メモを送ってくれた自民党衆院議員はこう語る。

「菅首相がアメリカ訪問で成果をあげて、コロナ感染も小康状態ならこのタイミングで解散、総選挙があってもおかしくない」

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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