「それではここから幹事社以外の方から質問をいただきたいと思います。質問をいただける方は挙手をお願いします。私が指名致します」

 そして質問する記者を指名し始めた。

「それでは、●●新聞の××さん」

 と、出席する記者の名前をそらんじている記憶力の良さは印象に残った。このことからも、 会食に同席した菅首相の長男との関係について、国会で「記憶にない」と語ったことには違和感がある。

 この日の会見で記者は毎回、手を上げ続けたが、約10問の質問全てに指されることはなかった。それでも手を上げ続けたが、彼女は、

「それでは、会見は終了させていただきます」

 と、強引に会見を打ち切り、菅首相は去って行った。

 会見後、山田氏が記者席にやってきたところを、挨拶がわりに名刺を差し出し、「次はあてていただけませんか」と頼んだ。名刺には「週刊朝日」とネット媒体の「AERA.dot」の記者と印刷されている。

 山田氏は名刺を見ながら「AERAはいつも読んでいます。AERAさんなら」。「週刊朝日なんです」と伝えると、「週刊朝日はちょっと……」と難色を示した。AERAも同じ朝日新聞出版の媒体ではあるが、そもそも、広報官が媒体名によって「あてる」「あてない」を判断していたとしたら問題ではないか。政界関係者からは「会見前に、あてる記者はだいたい決まっている」という説すら聞く。

 山田氏の後任の広報官には、平等な運営を求めたい。

(本誌・上田耕司、今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事