ジャルジャル福徳秀介 初の長編小説はお笑いの「ええ言葉」を活用 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ジャルジャル福徳秀介 初の長編小説はお笑いの「ええ言葉」を活用

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坂口さゆり週刊朝日
福徳秀介(ふくとく・しゅうすけ)/1983年生まれ。兵庫県出身。関西大学文学部卒。同じ高校のラグビー部だった後藤淳平と2003年、お笑いコンビ「ジャルジャル」を結成。キングオブコント2020優勝。本作で小説デビューを果たす。

福徳秀介(ふくとく・しゅうすけ)/1983年生まれ。兵庫県出身。関西大学文学部卒。同じ高校のラグビー部だった後藤淳平と2003年、お笑いコンビ「ジャルジャル」を結成。キングオブコント2020優勝。本作で小説デビューを果たす。

 今年9月半ばに結婚を発表、同月下旬に「キングオブコント2020」で優勝と、お祝い続きのお笑いコンビ「ジャルジャル」の福徳秀介さんが、初の長編小説『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(小学館 1500円・税抜き)を上梓した。

 大学2年生になっても華やかな生活と無縁の小西は、人目を避けるために日傘が必需品。そんな彼がある日、自分と同じように一人でありながらも、堂々とキャンパスを歩く桜田花に恋心を抱く。

 実は福徳さん、中学3年生の時に出会った恋愛小説の衝撃が今も忘れられず、普段読むのは、基本的に恋愛小説。本作も書き始めた頃はバリバリの恋愛小説だった。ところが、原稿を読んだ編集者から最初に「千本ノックだと思ってください」と言われた。ダメ出しをくらっては話し合い、改稿を繰り返すうちに自分自身が一番つらかった経験──父親を高校1年生の時に事故で亡くした時の思い──と向き合い、気づけばそれを書いていた。できあがった作品は恋愛小説には収まらない、人間の生と死を見つめた小説になった。

「僕は登場人物が死ぬ小説を読むと、作者も同じような経験をしているのか気になってしまい、いつも調べてしまいます。僕は経験している人の書いている小説のほうが腑に落ちることが多かった。それで、僕も経験したからこそ書けるのではないかという気持ちがありました」

 本書はまた、言葉にこだわる芸人らしく、<一生消えない悲しみは、一生の励みになる><元気が出ないときは夜空を見ときなさい。いずれ明るくなるから>など、金言が多くちりばめられている。<嫌いな人が困っていたら、『ざまあみろ』と思うな。嫌いな人が困っていたら助けてあげなさい。そして、『私に助けられて、ざまあみろ』と思いなさい>が浮かんだ時は、「これで小説が書ける」と思ったそうだ。

「お笑いは真面目があってふざけると面白い。そのまじめ用(のネタ)に普段から『ええ言葉』をスマホにメモしていました。今回ふとそれを思い出して読み返したら、『この小説に当てはまるな』と思う言葉が次から次へと浮かんできたんです。自分で考えておきながら、そうした言葉の数々に僕自身も励まされました(笑)」

 完成まで4年。「(小説を書くのは)素人だけに時間をかけなければきちんとした作品にはならない」と最初から長丁場を覚悟し、仕事以外の時間はほぼ執筆にあてた。

 お笑いを趣味と言い、「僕は趣味を仕事にできためちゃめちゃラッキーな人」と語る福徳さんだが、今回、「小説を書くこともお笑いと同じように楽しいことがわかった」と言う。

「ただ長編小説を書くには、私小説と言わなくてもある程度自分の人生を懸けないと書けない、と気づいてしまった。そう考えると書けるテーマはまだ数個しかないですが、今後も書き続けていきたいです」

(坂口さゆり)

週刊朝日  2020年11月27日号


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