伊藤容疑者が事故を起こしたのは、東京都渋谷区の神宮外苑近くの「外苑西通り」。首都高と鉄道と一般道の三つの高架橋が連続している交差点だった。路上でUターンする際に、対向車線を走ってきた2人乗りのバイクに衝突し、そのまま現場から走り去った疑いが持たれている。

 バイクを運転していた会社員の男性(26)は左腕を打撲、同乗していた女性(27)は左足の骨折などのけがを負った。

 目撃情報などによると、事故直後、伊藤容疑者が乗った車が逃げたので、その後ろを別の車がクラクションを鳴らしながら追いかけ、戻るように促し、伊藤容疑者は戻ったという。

 取り調べに対し、伊藤容疑者は、事故を起こし、逃げたことを認めた上でこう供述したという。

「買い物をしていて、道がわからなくなってしまいました。とにかく気持ちが動転し、パニック状態になってしまった」

 現場からは百数十メートル逃げ、途中で左折もしているという。

 芸能人でも一般人でも、人身事故を起こしたら、どういう行動が求められるのか。

 元兵庫県警の警察官で「ひき逃げ捜査」を担当していた飛松五男氏はこう話す。

「まず、被害者が倒れていたら、道路の端に寄せることですね。そうしないと、後ろから来た車にひかれる二次被害の可能性がありますから。そして、救急車と警察に電話する」

 それができない状況であれば、近くにいる人の助けをすぐに求める。場合によっては、ケガ人の応急措置をすることも必要だという。

「それをせずに、逃げるというのは、自分が全て責任を負わないといけなくなり、通常は起訴され、公判になります。罰金刑ではすまない。今回の場合でも、すぐに警察に届ければ逮捕はされなかったんですよ。交通事故でひき逃げは一番悪いんです」(飛松氏)

 今回、伊藤容疑者が事故を起こした時間帯は、車の通りも多い。伊藤容疑者が逃げたことで、被害者が二次被害に遭っていてもおかしくなかったのだ。(本誌・上田耕司)

*週刊朝日オンライン限定記事

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