千葉県に住む高橋文子さん(仮名)の生活が一変したのは、3月下旬だった。同居する息子が海外で体調を崩し、帰国後にPCR検査を受けると陽性であることが発覚。県内で入院できる病院はすでになく、自宅で看病することになった。
それからは苦悩の日々だ。家族や近所へ感染させないように息子を個室に隔離し、家の中をくり返しアルコール消毒。気持ちは張り詰め、「とくに最初の1週間は眠れなかった」。
金銭面の負担も増えた。新型コロナは感染症法が定める「指定感染症」で、本来は検査や入院でかかる費用は公費で賄われる。しかし、高橋さんのケースは自宅療養なので自己負担が多い。息子の看病のために仕事も休まざるをえなくなり、収入も減った。
「新型コロナによる経済的影響を受けて、本来は対象外の雇用保険に半年加入していない従業員、労働時間が週20時間未満のパートやアルバイトにも休業手当の対象が広がりました。制度としては幅広い人が使えるようになりました」
こう話すのは、ファイナンシャルプランナー(FP)の拝野洋子さんだ。事業主が会社都合で従業員を休ませた場合、平均賃金の6割以上の休業手当が払われる。もっと多い額をもらうためには「まずは有給休暇を申請しましょう。休業手当は約6割ですが、有給休暇は基本的に給与の全額が補償されるからです」。
子どもを世話するため、親が有休を取得しやすいように小学校休業等対応助成金もできた。有休を取得させた事業主に対し、1日あたり上限8330円が支給される。子育て世帯にはまた、子ども1人あたり1万円を配る臨時特別給付金が設けられた。0歳~高校1年生が対象で、児童手当に上乗せする形で6月に支給される見通しだ(高所得者は対象外)。0歳~小学3年生の子どもがいて、企業主導型のベビーシッターを使う場合に1家庭あたり月最大26万4千円分を補助する内閣府などのベビーシッター割引券もある。
4月から保育園に入るはずが、臨時休園によって子どもを通わせることができなくなった親も多い。そんな人のため、休業開始時の給与の最大67%が支給される育児休業給付金が、半年延長できるようになった。