つまり、グローバリズムとデモクラシーがパンデミックの要因だというわけだ。

 一方、日本経済新聞の論文を書いたのは、イスラエルの歴史学者、ユヴァル・ノア・ハラリ氏である。

<今回の危機で、私たちは特に重要な2つの選択に直面している。1つは「全体主義的な監視」と「市民の権限強化」のどちらを選ぶのか。もう1つは「国家主義的な孤立」と「世界の結束」のいずれを選ぶのか、だ>

<中央集権的な監視と厳しい処罰が市民に有益な指針を守らせる唯一の手段ではない><市民に十分な情報と知識を提供し、自分で可能な限り対応するという意識を持ってもらう方が、(中略)はるかに強力で効果ある対応を期待できる>

<自国を優先し各国との協力を拒む道を歩むのか、グローバルに結束していくのか(中略)前者を選べば危機は長期化し、(中略)後者を選べば新型コロナに勝利するだけでなく、21世紀に人類を襲うであろう様々な病気の大流行や危機にも勝利することができる>

 私は、ハラリ氏の主張に共感を抱くのである。

週刊朝日  2020年4月17日号

著者プロフィールを見る
田原総一朗

田原総一朗

田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年、滋賀県生まれ。60年、早稲田大学卒業後、岩波映画製作所に入社。64年、東京12チャンネル(現テレビ東京)に開局とともに入社。77年にフリーに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。98年、戦後の放送ジャーナリスト1人を選ぶ城戸又一賞を受賞。早稲田大学特命教授を歴任する(2017年3月まで)。 現在、「大隈塾」塾頭を務める。『朝まで生テレビ!』(テレビ朝日系)、『激論!クロスファイア』(BS朝日)の司会をはじめ、テレビ・ラジオの出演多数

田原総一朗の記事一覧はこちら