古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など
古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。主著『日本中枢の崩壊』(講談社文庫)など
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今井尚哉総理秘書官(左)と安倍総理(c)朝日新聞社
今井尚哉総理秘書官(左)と安倍総理(c)朝日新聞社

 新型コロナウイルスのおかげで、桜を見る会の窮地を脱した安倍政権だが、今度は、コロナの終息時期と五輪の中止または延期という大きな不確定要因に命運が左右される状況に陥った。

【写真】画策中!?今井総理秘書官と安倍総理

 今夏の五輪実施判断のタイムリミットと言われる5月中のコロナ終息は困難というのが大方の専門家の見方だ。安倍総理が、16日のG7首脳テレビ会議後に発した「完全な形で実現」という言葉は、今夏実施断念の意味だと受け止められた。安倍総理の盟友トランプ米大統領も五輪延期に言及し、非常事態は7~8月まで続くと述べている。

 五輪延期が事実上決まりだとすると、それによって何が起きるのかが次のテーマだ。こういう時は、今井尚哉総理秘書官兼補佐官ら、「チーム安倍」がフル稼働する。既定の政治カレンダーを基礎に、コロナや五輪がどうなるかをケース分けしてシミュレーションし、日々の安倍総理の言動を決めていくのだ。

 プランAは、日本のコロナが夏までに終息し、経済対策の効果もあって景気が急拡大するという非常に幸運なケースだ。この場合、前々回のコラムでも言及したとおり、今秋の衆議院解散総選挙という選択肢がある。7月の都知事選で小池百合子都知事を支持して大勝することも一つの条件だ。ただし、世界経済の落ち込みは激しく、日本経済の急拡大も難しいから、このシナリオの可能性は低い。

 次に、米テレビ放映権の関係で実施は夏に限られるため、丸1年延期のプランBと2年延期のプランCが検討される。実は、安倍政権にとって、プランBのほうがプランCよりはるかに良い選択肢だ。なぜなら、来年9月の自民党総裁選、10月21日の衆議院議員の任期満了の直前に五輪フィーバーで、安倍内閣支持率が上昇する可能性が高いからだ。その勢いを使えば、総裁4選、あるいは4選でなくても、後継総裁の指名などでキングメーカーとして院政を敷くことができる。場合によっては、オリパラ直後に解散総選挙。大勝した勢いで総裁4選もある。

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