遺言書は、赤いペンで以下のように記されていたという。

<いごん 個人の全財産を田辺市にキフする。X社とY社(野崎さんの会社)の清算をたのム 平成25年2月8日 野崎幸助>

 田辺市のよると、野崎さんには負債もあり、それを差し引き約3億円となるという。田辺市は9月13日、野崎さんの遺産を受け取ることを市議会で報告。9月中旬の市議会で可決され、正式決定となる見込みだ。

 野崎さんは死の数か月前に、55歳年下のSさんと結婚したばかりだった。
遺言書には「全財産」とあるが、Sさんへの遺産はどうなるのか?

 野崎さんの親族はこう話す。

「Sさんの方から相談はない。そこでこちらも弁護士を立てて話し合いを求めている。田辺市が受け取るというニュースには、本当に驚いた」

 野崎さんの遺産は、そのまま田辺市のすべて寄付されるのか?専門家はこう解説する。

「一般論ですが、遺産の全額を市に寄付とあっても、妻なら法律上、遺留分として4分の1をもらえる権利があります」

 ドン・ファンの遺産が有効利用されることを望むばかりだ。
(今西憲之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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