今回の事件を受けて、哀悼と支援の輪が国内外で広がっている。


 タレントでアニメファンの中川翔子さんは7月18日にこうツイートした。

「日本の大切なアニメーション文化を作る技術と心を持つ人材、日本の宝である存在。人の心や人生に光をくれる大切な仕事。本当に、あまりにも痛ましい大きな損失。言葉にならない」

 米アップルのティム・クック最高経営責任者も7月19日に、京アニは世界で最も才能のあるアニメーターたちの居場所だったとして、犠牲者の冥福を祈った。

「今回のひどい攻撃は世界的な悲劇です。京アニのアーティストたちの数々の作品は、世代を超えて世界中に感動を広めています」

 京アニの作品では、水泳部の男子高校生の友情を描いた映画「劇場版Free!─Road to the World─夢」が現在公開されている。事件を受けて、来年夏に公開予定だった新作の情報発信が中止になった。映画やテレビアニメの新作はほかにも計画されており、影響は深刻だ。

 八田英明社長は大変な状況のなかでも、ファンを意識して次のように語った。

「予定している作品もありますから、みんなの気持ちを大事にして、みんなで受け継いでがんばろうということでやっていければ。経営者としては、私たちの将来はなくしたくないと思います」

 事件発生から時間が経っているが、亡くなった人の身元の確認は進んでいない。行方不明の人の親族や関係者らはいまも悲しみに暮れている。今回の卑劣な事件が残した傷痕はあまりに深い。

(本誌・田中将介、池田正史、多田敏男)

週刊朝日  2019年8月2日号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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