『神田川』に留学時代重ね…御理髪掛が見た新天皇陛下の素顔 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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『神田川』に留学時代重ね…御理髪掛が見た新天皇陛下の素顔

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永井貴子週刊朝日#皇室
サロンで撮影に応じる大場隆吉さん

サロンで撮影に応じる大場隆吉さん

英オックスフォード大留学中に生活した寮の部屋。窓際には、ソニーのカセットレコーダーとクラシック音楽のカセットテープが並ぶ。1985年撮影 (c)朝日新聞社

英オックスフォード大留学中に生活した寮の部屋。窓際には、ソニーのカセットレコーダーとクラシック音楽のカセットテープが並ぶ。1985年撮影 (c)朝日新聞社

最後のサロンでの調髪のとき、快く記念撮影に応じる徳仁皇太子。後列の右端が大場さん、前列右端が古中さん

最後のサロンでの調髪のとき、快く記念撮影に応じる徳仁皇太子。後列の右端が大場さん、前列右端が古中さん

 大場隆吉さんが御理髪掛を拝命したのは、2007年4月のこと。毎月、元赤坂の東宮御所に伺い、徳仁皇太子の調髪を行っていた。そこでは……。

【写真】徳仁皇太子が英オックスフォード大留学中に生活した寮の部屋がこちら

*  *  *
 6月に入ると蒸し暑い日が続いた。築50年ほどになる東宮御所も老朽化が進み、冷房をいれても、じっとりと汗ばむほど部屋は蒸していた。

 徳仁皇太子のひたいや首筋にも、髪がへばりついていた。大場さんが、暑くはございませんか、と尋ねると逆に、徳仁皇太子から、

「大場さん、大丈夫ですか」

 という声が返ってきた。鏡越しに映る大場さんの顔の汗に気づいていたのだ。

 その東宮御所も翌08年8月から1年間の改修工事に入った。そのあいだの調髪は、大場さんが経営するサロン「OHBA」の赤坂店で行うことになった。

 元赤坂2丁目の東宮御所から店までは、ほんの数キロ。護衛とともに車が到着すると、3階にあるサロンの個室に迎える。

「OHBA」のディレクターを務める古中美どりさんは、まずはくつろぐことができるようにと、ひと口サイズのお菓子と、ひと肌の温かさの飲み物を出した。初夏には、甘酸っぱい香りを楽しめる佐藤錦で作られた水出し紅茶でもてなす。反対に、調髪を終えた後は、少し渋めにいれた熱い日本茶に、徳仁皇太子がお好きな季節の上生菓子を添えて出した。

 改修工事の期間、毎月店舗に足を運ぶ徳仁皇太子は、柔らかな表情で楽しそうに音楽や映画について話をすることもあった。ビオラやチェロ、ピアノの奏者である徳仁皇太子は、クラシック音楽が専門とのイメージが強い。

「神田川が、好きなんですよ」

 ぽつり、と徳仁皇太子が口にしたことがある。意外にも思えて、

「神田川って、『かぐや姫』ですか? どのあたりがお好きなのですか」

 と尋ねると、こんな返事が返ってきた。

「あの、『石鹸カタカタ鳴った』て歌詞がありましたでしょう」

 そんな経験ございませんでしょう、と大場さんが問いかけると徳仁皇太子は、

「私だってわかりますよ。イギリスの留学では、寒い土地で初めて一人暮らしをしましたからね」

 そう言って懐かしそうに目を細めた。


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