元世界女王・安藤美姫が明かす勝利の秘訣「メディアの注目を力に変えること」 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

元世界女王・安藤美姫が明かす勝利の秘訣「メディアの注目を力に変えること」

このエントリーをはてなブックマークに追加
大崎百紀週刊朝日
世界選手権で二度優勝経験がある安藤美姫さん(c)朝日新聞社

世界選手権で二度優勝経験がある安藤美姫さん(c)朝日新聞社

 世界選手権で2度の優勝経験がある安藤美姫さん(31)。元世界女王に、20日から始まるフィギュアスケート世界選手権(さいたまスーパーアリーナ)の展望などを聞いた。

──日本女子代表3人の活躍が目覚ましい。

 私は、日本の国旗を背負っている3人とも応援しています。1人では次の世界選手権の枠が確保できません。トップ2の順位合計で次の日本の出場枠が決まる。彼女たちはそれを背負って出ています。

 最年長の宮原知子選手は、ジャンプやスピンだけではなく、メッセージ性やストーリーが見えます。演技が美しく、魅力的ですね。

 坂本花織選手に対し世間が抱くイメージは、元気で力強いといった印象が強いかと思います。でも私は、今年のショートは柔らかい女性らしさが出ているプログラムだと思います。こういう雰囲気も出せる選手なんだな、って。

 これは大切なこと。坂本選手は五輪選手として注目を集めましたから、そのときと異なる雰囲気のパフォーマンスができるということはジャッジにいい印象を与えます。

 4位に終わった四大陸選手権では悔しそうにしていました。その悔しさをバネに一回り大きくなって臨んでくるでしょう。

──トリプルアクセルを武器にする紀平梨花選手は。

 紀平選手には勢いを感じます。トリプルアクセルの意味は大きい。でも全日本選手権でトリプルアクセルをミスして坂本選手に負けてしまった。成功すれば強いが、失敗したときに勝てるか。そのあたりも駆け引きになると思います。

──自国開催は日本選手に有利に働くか、プレッシャーになるのか。

 それぞれの選手で違うと思いますが、自国開催が力になる選手は多いでしょう。プレッシャーというより自分との闘いですね。

 ショート2分50秒間、フリー4分間、30メートル×60メートルのリンクの上には選手しかいない。あの環境でどれだけお客さんの声援やメディアの注目をパワーに変えることができるか。それは大事ですね。

──選手のけがは不安要素。でも、安藤さんはけがを抱えつつ自国開催の2007年に優勝した。

 あのときは、足が痛くなければ幸せという感じだった。大会の2カ月前に、靴が壊れるというアクシデントもあって、氷の上での練習がまったくできず、ジャンプを始めたのは、世界選手権の会場での公式練習でした。

 無理に練習しなかったおかげで痛みは出ず、アドレナリンが出て、ジャンプが跳べるうれしさいっぱいで表彰台は考えていなかった。自分らしい演技を、という気持ちだけでした。

──逆境にあるからこそ、いいパフォーマンスができるということ?

 それは、ショートで大きなミスをした後、フリーで見違えるような演技をするというのと同じ。「失うものはない」と思えば、「やるべきことをやるだけ」という精神状態になる。それがリラックス感を生んで素晴らしい演技になるというのは多々あります。良い集中と良いリラックスが力に変わるのだと思います。

──最後に日本の選手へのメッセージを。

 結果は後からついてくるものなので、大きなけがなく演技すること。リンクで選手一人ひとりが輝けるように応援しています。

(聞き手 本誌・大崎百紀)


※週刊朝日 2019年3月29日号


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい