……あれから四半世紀。今、週刊誌「SPA!」の性差別的特集に若い女性たちが怒りの声をあげ、賛同する声が5万人以上集まっている。性差別は「SPA!」だけの問題ではないが、声をあげることが大切だと20代の女性たちが語る映像を見た。編集部は社会に向けて謝罪することになった。

 隔世の感がある。昔は、「レイプと思う感覚のほうがおかしい」と女性たちを嘲笑する声が大きかった。「行動する女たちの会」は話題になり、ウイスキー広告は取り下げられたが、なぜ取り下げられたのかは深く掘り下げられず社会問題になったとは思えなかった。それが今は……。

 昔から抗議する女性たちはいた。それでも今、何かが変わり始めている。それは、個人の声が社会をより良くするのだと、社会が成熟した結果なのかもしれない。人権感覚を身につけた「個の感覚」が大きくなっているのかもしれない。少し希望が見える。女性たちの闘いも無駄ではなかったのだ。声は必ず新しい声に、つながる。

週刊朝日  2019年2月1日号

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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