では、どれくらいの尿流がなければ問題なのだろうか。西村さんは答える。

「男女とも“30秒以内に200cc以上出し切る”のが健康な排尿といわれています。おなかに力を入れないと出ない、1分以上かかるという人は排尿障害が考えられます」

(2)おしっこが赤い

 おしっこが赤いときは血尿が疑われる。血尿には大きく目で見てわかる「肉眼的血尿」と、見た目ではわからず尿検査などで発見される「顕微鏡的血尿」とがある。

「1リットルの尿中に2~3ccの血液が混ざっただけで、血尿とわかります。気を付ける必要があるのはこの肉眼的血尿で、特に排尿時に痛みのないものでは50%ほどの確率で尿路結石や膀胱がん、腎がんなどが見つかるとのデータもあります」

 と鈴木さん。排尿のたびに血尿が出るわけではない。そのため、受診を先送りしがちだが、1回でも尿が赤かったら医療機関で診てもらったほうがいいそうだ。

 一方、顕微鏡的血尿は尿検査を受けると約1割がひっかかるが、実際に問題が見つかるのはそのうちの5%ほどだという。

 余談だが、尿検査を受けるときにもコツがある。採尿前にぬるま湯などで湿らせたトイレットペーパーなどで、尿道の周辺をよく拭いて、清潔にしてから尿を採ると、疑陽性になりにくいそうだ。特に女性は男性と違って尿道が隠れている。周囲の雑菌や異物が尿の中に入りやすいので、念入りに。また、月経血と血液の区別はつかないため、月経中も尿検査は受けないこと。

(3)直後にいやなにおい

 健康な尿は、一種の芳香臭がする。にんにくなどのにおいのきつい食べものやアルコールの摂取後は、消化できなかったにおいの成分が尿に出てにおうことがある。これに対し、尿が濁ったり、腐ったようなにおいがしたりするときは、要注意だ。

「特に排尿直後の尿が濁っていて、いやなにおいがしたら、急性膀胱炎など尿路感染症かもしれません。特に排尿時に痛みを感じるときは、その可能性が高い。抗菌薬などによる治療が必要です」(同)

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