(4)日中8回以上、夜間2回以上のトイレ

 尿の量は健康であれば、体重1キログラムあたり、1時間で1ccの尿が作られる。体重60キログラムの人なら1時間で60ccの尿が作られることになる。通常、成人であれば200cc前後で最初の尿意が起こり、150ccぐらいは追加でためることができる。

 朝起きてから夜寝る前までに8回未満、夜間は2回未満であれば問題ない。だが、昼間にそれ以上トイレに行くようなら「昼間頻尿」、夜間2回以上トイレのために目が覚めれば「夜間頻尿」、両方当てはまれば「24時間頻尿」の可能性が出てくる。

 頻尿の原因には加齢のほか、過活動膀胱や尿路感染症、糖尿病、脳卒中、脳腫瘍などの病気が挙げられるが、それ以外の要因として見逃されがちなのが「水分のとりすぎ」だ。鈴木さんは、「本来ならレモンイエローの尿が、水のように透明になっていたら、“水分のとりすぎ”を考えたほうがいい」と説明する。

「最近は“脱水予防”や“血液をサラサラにする”といった理由で、水分を過剰にとっている方が信じられないくらい多くいます。もちろん脱水があれば水分摂取が必要ですが、水を飲めば血液がサラサラになることは絶対にありません。余計な水分は、おしっこになるだけ。飲めば飲むほど頻尿(多尿)になります」(同)

 逆に、濃い黄色のときは、水分が足りていない脱水サインなので、水分摂取を心がけたほうがよいそうだ。

 高齢者の睡眠不足につながる夜間頻尿も、「水分のとり方を変えることで、予防が可能」と西村さん。

「体内に入った水分はおよそ3時間で尿になる。夜間頻尿で悩んでいる人は、まず夕食後の水を控えて」

 このほか、降圧薬など持病の薬で排尿に問題が起こることも、知っておきたい。

「尿をためる“蓄尿”は交感神経が、尿を出す排尿は副交感神経が支配しています。したがって、副交感神経を優位にする降圧薬などの服用では尿もれを起こしやすく、交感神経を優位にする鎮痛薬や風邪薬の服用では排尿しにくくなるといった問題が起こることがあります」(西村さん)

 生活に支障が出るなら、主治医に相談して同じ作用の別の薬に変えてもらおう。 気温が下がるこれからの時期は、トイレの回数が増えがちだ。

「体は体温を下げないよう、体内の水分を出そうとします。また、夏と違って冬はあまり汗をかきません。その結果、尿量が増えるため、夏よりトイレに行く回数が増えるのです。尿量が増えれば当然、もれやすいなどの問題も起こってきます。冬の頻尿は季節的なものなので、尿がたくさん出たからといって、それを補おうと水分摂取を増やす必要はありません」(同)

 体の不調は尿が教えてくれる。そのサインを逃さないよう毎回チェックだ。(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2018年12月21日号