吉川貴盛農林水産相(c)朝日新聞社
吉川貴盛農林水産相(c)朝日新聞社

 国会で“国税庁への口利き”疑惑で片山さつき地方担当相が連日、火だるまになる中、吉川貴盛農林水産相にも“口利き”疑惑が浮上した。

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 関与が取り沙汰されているのは現在、札幌地裁で審理中の太陽光発電所を巡る詐欺事件だ。事件は今年3月、太陽光発電所設置に絡み、北海道から補助金約5960万円を詐取したとして、山内健嗣被告、鈴木利春被告ら3人が逮捕された。山内被告が北海道洞爺湖町に太陽光発電所を新設する際、約12億円という虚偽の投資額を申請。コンサルタント業の鈴木被告らは、その指南役として、補助金をだまし取ったという容疑だ。公判で「バッジの方が……」と国会議員の関与が指摘されたのは10月。

 検察側は山内被告に対して、証拠として提出された<申請の補助金について、バッジの方等色々、ご報告とご相談をしたところ、すでに助成金5000万円が決定しているとのことです>と記されたメールについて問いただした。

 山内被告の会社は資金力が不安視されていたにもかかわらず、日本政策金融公庫から7億2千万円もの融資を得て、北海道の補助金5960万円も獲得。その交渉をまとめ上げたコンサルの鈴木被告に成功報酬として、数千万円が支払われていた。

 北海道で「バッジの方」捜しが始まり、地元出身の吉川農水相の名前が取り沙汰されるようになった。

 10月16日の吉川農水相の大臣会見ではこんな直球の質問が記者から飛び出した。

「一部の報道で北海道の補助金詐取事件の口利きをした議員が吉川大臣だという声も上がっています」

 すると吉川農水相は「お答えしようがない」と回答を避けた。鈴木被告の北海道の知人はこう語る。

「鈴木被告は拘置所へ接見に来たある知人に『吉川農水相は古くからの知り合いで、秘書とも親しい。パーティー券もよく買った。今回の太陽光発電事業のことも相談した結果、北海道電力と日本政策金融公庫の窓口を紹介してもらった。しかし、謝礼は払っていない』と語っています」

 吉川事務所に取材すると、こう回答があった。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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