入学には、入学金1万円と月額授業料(月謝)7千円(2019年度は変更の予定あり)が必要となる。自治体などが開講している授業料が格安のシニア向け教室も増えてきたが、在学期限が設けられていたり、抽選などで落とされることもあるなど、必ずしも長く在学できないのがデメリットといわれる。

 一方、同校は、シニアなら誰でもいつでも入学できて、何年でも学び続けられる。実際に20~30年と長期間にわたって通う学生も珍しくないという。

■小中学校時代を思い起こさせる時間

 このへんで、再び教室に目を戻してみると、午前中の一般教養講座が終了し、午後の選択科目が始まるまでの間、学生たちは思い思いの昼休みを過ごしていた。ランチに出かけるグループもいれば、日直係の学生が教室を片づけているかたわらで、文化祭で披露するコーラスの練習に励むグループも。学校の放送部のように昼休みの娯楽として、季節にちなんだ童謡などをマイクを通して歌う係の学生もいる。小中学校時代を思い起こさせるワイワイ楽しい1時間だ。

 午後は「史跡探訪部」「書道部」「絵画部」の3科目がある選択授業のそれぞれの教室へ移動。まずは「史跡探訪部」。史跡の多い京都の町での授業も多いが、この日はスライドを見ながらの座学がおこなわれた。

「授業を聞いていると、なんともいえない充足感を感じるんですよね。そうした自己啓発の意味合いのほか、ここでは人との出会いも重要です」

 元会社員の森田浩一郎さん(84 歳)はそう話す。

■友人に誘われてこの大学に入学

 仕事をリタイアした22年前、友人に誘われてここに入学した。

「濡れ落ち葉もイヤ。組織の上下関係もイヤ。そうではない社会や人との横のつながりがほしかった。コーラスを始めたのも、ここに通ったのがきっかけです。自分もこんなことができるんだという新しい発見も多く積極的に生きていきたいシニアにはいい場所だと思います」

 続いて、この日は近くの植物園で写生の授業をおこなっていた「絵画部」へ。講師の指導を受けながら、園内の水車をスケッチしていたのは、駒井俊哉さん(65歳)だ。

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現役の学生と机を並べて…