壊れた肺を元に戻せない病気「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」 新薬が目覚ましい進歩 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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壊れた肺を元に戻せない病気「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」 新薬が目覚ましい進歩

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山崎正巳週刊朝日#ヘルス
COPD患者で、身体活動性の低い人と、軽い運動をする活動性の高い人を比べると、後者のほうが圧倒的に死亡率が低いことが明らかに(※写真はイメージです)

COPD患者で、身体活動性の低い人と、軽い運動をする活動性の高い人を比べると、後者のほうが圧倒的に死亡率が低いことが明らかに(※写真はイメージです)

■生活に合わせた薬剤選択が可能に

 COPDの薬物療法には主に吸入タイプの気管支拡張薬を用いる。これに加えて、たんを出しやすくする喀痰調整薬(去痰薬)、増悪時に原因となる細菌をやっつける抗菌薬、喘息を併せ持つ患者には炎症をおさえる吸入ステロイド薬などが用いられる。なかでも長時間作用する気管支拡張薬の登場は、薬物療法の転換となった。最近使用されている長時間作用する吸入薬は、1日1回(あるいは2回)の吸入で効果は終日持続するようになっている。吸入回数が少ないことで利便性も高くなった。

 長時間作用性気管支拡張薬には、気道の筋肉を収縮させるアセチルコリンの働きを抑制する「長時間作用性抗コリン薬(LAMA)」、締まった筋肉を緩める作用を持つ「長時間作用型β2刺激薬(LABA)」の主に2種類がある。

「まずはLAMAやLABAの単剤で治療を開始することを推奨しています。1日1回のタイプは利便性に優れていますが、運動後の呼吸困難など病状によっては、1日2回タイプのほうが有効な場合もあり、個々のライフスタイルや病気の特性に合わせて薬を使い分けていきます」(同)

 現在、COPD治療に最も使用されている薬はLAMAだ。増悪の回数や入院期間、予後を劇的に改善させている。

 東京医科大学八王子医療センター呼吸器内科教授の寺本信嗣医師はこう話す。

「LAMAは医師にとっては増悪を減らせる素晴らしい薬ですが、患者さんはLAMAを吸入しても息切れの解消が十分に実感できず、服薬の継続につながらないことがありました」

 LAMA、LABAによる単剤での効果が得られないときには、量を増やすのではなく、他の薬を併用して治療を強めることが勧められている。その際、主役となるのが両薬剤の効果を兼ね備えたLAMA/LABA配合薬だ。

「LAMAは気道の太いところに、LABAが作用するβ2受容体は気管支にそって広く分布しており、それぞれ働くところが違うのがポイントです。配合薬として吸入することで肺全体にいきわたり、それぞれ単剤を増量するよりも強力な気管支拡張効果を得られます」

 こう説明する寺本医師は、最近の薬物療法による患者の変化を目の当たりにして、驚くことも多いという。

■吸入した翌日から効果を実感できる

「配合薬吸入の翌日から効果を実感できる患者さんが多くいます。元々、COPDの患者さんは活動性が低く、自分の息切れを認識していません。配合薬で気道を緩めてあげると、息切れしていたことを自覚し、実際につらかった階段を楽にのぼれるようになるという変化も実感できます」

 定期通院で1秒量(1秒間に最大に吐き出せる息の量)を測ると、10歳前くらいの肺の状態に戻っていることが確認できるという。

 LAMA/LABA配合薬は5年ほど前に初めて登場し、現在は3種類ある。

「いずれも1日1回タイプですが、それぞれ吸入器具(デバイス)が異なり、最終的に粉にして吸い込むものと、霧状になるものに分かれます。一つの薬に効果がないからとあきらめず、他も試して効果を実感してもらいたいです」(寺本医師)

 吸入薬は、吸入時に使用するデバイスも重要となる。

「薬ごとにデバイスは異なります。最近の吸入薬の効果は高いですが、吸った薬が目的の場所に到達しなければ効果は得られません。自分にとって、吸入しやすいデバイスの薬を選択することも大切です」(權医師)

 吸入の仕方は担当の医師や看護師、薬剤師が指導、チェックをしてくれる。權医師らが運営管理しているウェブサイト「吸入レッスン」(http://www.kyunyu.com)は、吸い方のポイントが動画で紹介されていて、吸入の仕方を復習できる。

「手技が複雑で吸入できないものもあるかもしれませんが、今はLAMA、LABAともに種類も豊富で、自分に合った薬が必ず見つかると思います」(同)

 COPDは進行性の病気のため、症状が良くなっても服薬をやめず、治療を継続することが大切だ。

◯日本大学板橋病院呼吸器内科主任教授
權 寧博医師

◯東京医科大学八王子医療センター呼吸器内科教授
寺本信嗣医師

(文/山崎正巳)

※週刊朝日11月2日号から


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