「節約しながら買おう」と思っても、目移りするほどの商品であふれかえった店内にはかなわない。「あ、そろそろ調味料の買い置きしておこう」となんとなく買ってしまうことにつながるだけだ。

 次なるポイントは、「短いほど安い」。1週間より1日、1日より半日……。セール期間が短いほど、価格は安くなるという。たとえば、通常1パック200円の卵があったとする。これが1週間限定で198円、3日間なら158円、1日だけなら128円、半日なら98円、そして1時間限りなら88円……といった具合だ。「朝市」や「タイムセール」の文字は見落とせない。

 記者がチラシで気になったのが、「アイス全品2割引き」「米1割引き」といった表示。これを「カテゴリー特売」と呼ぶそうだ。

 カテゴリー特売が誕生したのは2000年代。それまでは、人気ナンバー1のナショナルブランドを安くする販促が主流だった。卵、サラダ油、牛乳、レギュラーコーヒー……。多くの家庭にあるのは同じ銘柄だったため、その商品を安くすれば客足に困らなかった。「単品で集客性の高いものを安くして、客を呼ぶ」(同)。それがチラシの一番の目的だった。

 今野さんが業界に入った1975年、勤務先のスーパーには約3千品目の商品が並んでいたが、現在はスーパー1軒に約1万8千品目。各社が競い合うように、商品が多様化していったのだ。

 そこで生まれたのがカテゴリー特売。客の選択肢を広げ、チラシの集客性を一歩高めた。

「何種類も買える」「気になっていた別の銘柄を食べてみようか」と、活用できそうだが……。

 今野さんによると、たやすく飛びつくのはご法度。単品で「特売」としてチラシに載るような商品は、カテゴリー特売になると高くなる傾向にあるという。

 たとえば3キロ2千円の米があるとする。チラシにはカテゴリー特売で「米1割引き」と表示されていても、今野さんによると、通常、単品で特売商品として店頭に並ぶ米であれば、最低2割ほどは安いそうだ。「カテゴリー特売で買う場合は、すぐに飛びつかずに、単品で特売にならない商品を選びましょう」と今野さん。

次のページ