室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト・小田原ドラゴン
イラスト・小田原ドラゴン

 森友問題で揺れる安倍政権。作家・室井佑月氏は、安倍首相が大好きか、大嫌いかで“分断”されてしまった状況が「かなりきつい」と指摘する。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *

 出演しているワイドショーで、共演者に叱られた。番組では、森友問題、証人喚問を受けた佐川氏が起訴されるかされないか、起訴されるとしたら、その裁判の過程で明らかになっていく、という話題を扱った。

 あたしはこの流れに違和感を持った。

 だって、森友問題で、佐川さんは、疑惑の中のひとつのパーツにすぎない。

 公文書の扱いに関しては具体的なことがわかるかもしれないが、佐川さんが自分のところで食い止めるんだ、そう腹をくくったら、動機の部分は正直にいわなくてもいいんじゃないか。

 佐川さんが起訴されたとしても、国民の多くが知りたい、なぜそんなことをしたという部分は出てこないかも。

 だからあたしは、ほかの方法もないのか、たとえば野党がいってる国政調査権とか、そう口にした。

 そしたら共演者に、今回は検察を軸に話を進めているので進行を妨げるな、個人的な疑問を挟むな、と叱られた。普段、その人は親切な良い人だから、あたしはその場ですみませんと謝った。

 しかし、時間が経つにつれ、もやもや感が大きくなる。

 裁判の過程で物事が明らかになっていくという話は、やっぱり誰かが疑問を挟まないといけなかったんだと思う。そのまま流していたら、森友問題の収束を狙った誘導と思われかねない。

 安倍政権になってから、世の中がギスギスしている。

 右か左か、高所得か低所得か、若者か高齢か……。世の中の分断が、加速しているみたいだ。

 安倍さん以前からそういうことはあったかもしれないが、もっとふんわりとしたオブラートに包まれたようなものだった。

 もう嫌だ、こういうの。

 というようなことをいうと、それ、安倍政権とは関係ないんじゃ……、すべて安倍さんのせいかよ、という人もいるだろう。

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら
次のページ