「だまされたふり作戦」も逆手に 進化する“劇場型”の詐欺手口 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「だまされたふり作戦」も逆手に 進化する“劇場型”の詐欺手口

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大塚淳史,多田敏男週刊朝日#シニア
「還付金は受け取れません」という注意を呼びかけるシールを貼ったATM

「還付金は受け取れません」という注意を呼びかけるシールを貼ったATM

銀行協会職員をかたる犯罪の手口(週刊朝日 2017年12月1日号より)

銀行協会職員をかたる犯罪の手口(週刊朝日 2017年12月1日号より)

キャッシュカードをだまし取る詐欺の件数と被害額(週刊朝日 2017年12月1日号より)

キャッシュカードをだまし取る詐欺の件数と被害額(週刊朝日 2017年12月1日号より)

 さらに新たな電話がかかってくる。「築地警察署安全課のカシワギ」を名乗る男性は、カードを勝手に使った被疑者を捕まえていると告げてきた。

「すでに今回の件で、被疑者を捕まえております。東京都北区在住の44歳です。ご存じでしょうか」

 女性は教えられた被疑者の名前が自分と同じ名字だったので、

「同じ名字ってそんなことあるんですね。でも、全く知らないです」

 と驚いた。

 5枚のカードを受け取った若い男性は警察官の電話が終わると、引き揚げることになった。なぜか記入した書類は持ち帰らず、女性に渡した。雨が降っていたので、

「傘を借りてもよろしいでしょうか」

 と言ってきた。さすがに突然の訪問で傘を借りるとはとあきれ、断った。小雨が降る中、若い男性は足早に出ていった。

 最初の電話からここまで、1時間にも満たなかった。

 自分のカードを勝手に使われずに済んだと一息ついた女性は、都内に住む妹に連絡した。電話で事情を聴いた妹は、大きな声で訴えた。

「お姉ちゃん、それが詐欺だよ。早く警察に電話しないと!」

 女性はすぐに事態を把握しにくかったこともあり、妹は別の親族や、警察に電話した。

 最初の電話がかかってから約2時間たった午後5時ごろには、女性の自宅に親族と警察が到着。だまされたことがわかってきた。

 試しに銀座三越に電話してみると、「ヨシノというものはおりません」と言われた。築地警察署にもカシワギという人はいなかった。複数の人物が登場することで被害者を心理的に追い込んでいく「劇場型詐欺」の典型例だった。

 警察によって、渡した5枚のカードの口座は全て止めてもらった。だが親族が確認すると、預金がほとんどなかった1行を除き、1日当たりの上限額の50万円ずつ引き出されていた。合計200万円の被害だ。犯人は1カ所の現金自動出入機(ATM)から、短時間で4口座分を引き出していたようだ。

 事情聴取した警察の担当者は、

「実は今日、日中に、パトカーで詐欺への注意喚起を促すアナウンスをしていたのですが、聞こえましたか?」


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