日本のロックのルーツを体現する高田漣 (2/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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日本のロックのルーツを体現する高田漣

連載「知新音故」

小倉エージ週刊朝日#小倉エージ#知新音故
父・高田渡の志を受け継いだ高田漣(有賀幹夫撮影)

父・高田渡の志を受け継いだ高田漣(有賀幹夫撮影)

ステージで歌う高田漣(有賀幹夫撮影)

ステージで歌う高田漣(有賀幹夫撮影)

高田漣『ナイトライダーズ・ブルース』

高田漣『ナイトライダーズ・ブルース』

 軽快でリズミカルな前者、のびのびと大らかな後者、それも鈴木茂との競演は鳥肌ものだ。同じくTIN PANと共演したブギ・ロック・ナンバー「文違い」の軽妙で洒脱な演奏にも聴き惚れる。

 全体を通じ、演奏やサウンドが温かみにあふれている。70年代の洋楽、邦楽を下敷きにしつつも、ブルースとヒップ・ホップ・センスを融合させた「ナイトライダー」での音楽展開、シカゴのブルースを手本に、いびつでザラッとした感触のギター演奏が新鮮な「Ready To Go~涙の特急券~」での音への執着などは、“今”という時代性を反映した独自のスタイルを物語る。各曲のイントロで様々な要素を織り込んだ遊び心も面白く、若い聞き手にルーツ・ミュージックへの関心をもたらしたいという意図も汲み取れる。

 それ以上に興味深いのはリズムのノリを重視した歌詞への取り組みだ。「ラッシュアワー」での英語と日本語の語呂合わせ、「文違い」での英語の固有名詞の起用は、往年の細野晴臣、大瀧詠一の一連の作品を思わせ、彼らの継承者としての姿勢、意欲を物語る。

『ナイトライダーズ・ブルース』のテーマは“ブルース”だという。といっても、音楽のスタイルとしてのブルースではなく、魂の叫びでもないという。

 昨日の記憶もない朝の目覚め、慌ただしく人が行き交う朝の風景を描いた「ナイトライダー」。出会った途端に一目惚れした女の子にだまされ、カードもハンコも渡してしまったオヤジが主人公の「ハニートラップ」。古典落語を下敷きにした「文違い」。1日、1週間の勤めを終えて駆け込む快速電車、自宅で待ち受ける淀んだ空気を歌った「ラッシュアワー」。

 いずれも日常生活の中で誰もが感じる憂鬱、まさにブルースだ。ヘマをしたり、それで後悔したりする情けない日々も生きていることの証しであり、それを歌にしたかったという。


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