夫:彼女はものすごく、がんばりましたよ。妻、母、娘としての務めを果たしながら、勉強にも邁進(まいしん)。

妻:臨床検査技師のころから、病気に苦しむ人たちを見て、何とか病気にならない体を作れないものか、と思ってきました。そこへ子育てと父の介護が加わって。少しでも家族の健康に役立てたらと思ったのがきっかけでしたね。

夫:まあ、僕は常に「実験台」ですよ。食事からハンドマッサージまで。でも、おかげで家系的にはがん体質なのに、僕はなんともない。血圧も正常。虫歯も水虫もなし。若いころは暴飲暴食の毎日だったのに。

妻:父の死後、会社のビルが空いて。どうしようかなと思っていたときに、植物療法の私の師匠たちが、スクールを開いたら?ってアドバイスしてくださったんです。

夫:今は九州の大学にも教えに行ってる。子供も成人したんだし、やりたいことは、なんでもやればいいんですよ。それには、時間を作らなくちゃね。だから、僕で助けられることなら、何でもやりますよ。

妻:私の母と叔母と同居してるんですけど、彼は彼女たちにも優しいんです。テレビじゃもっぱら「ババア」なんて呼んでますけど。

夫:今日もものすごく暑いから「クーラーつけて、水分、ちゃんと摂(と)れよ」って言ったんです。そしたら、電気代がもったいないとか何とかごにょごにょ言う。おいおい、あと30年も生きられないだろ? 20年だって怪しいもんだって言ってやったら「そうよねえ」。

妻:あはは。

夫:20年分の予算を10年で使い切るつもりで、食べたいもの食べて、やりたいことやりなさいよと。「大丈夫、ヘタに長生きしそうだったら俺が始末してやるから心配すんな」て言ったら、笑ってましたけど。

妻:そういう自分だって、60過ぎたら女形はやめようかな、なんて言ってたんですよ。

夫:お客さまが決めてくださること。60過ぎたときに「まだきれいですよ」「もっと見たいです」っておっしゃってくださった。だったら、もうちょっとがんばってみようかな、と。

妻:お客さまに愛される限り、がんばらないとね。健康にだけは、気を付けて。

夫:はい!(笑)

週刊朝日 2017年8月11日号より抜粋

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