「下品には描かない」ピンク看板絵師が貫く“エロス”の神髄 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「下品には描かない」ピンク看板絵師が貫く“エロス”の神髄

週刊朝日
仕事場での日田邦男さん=京都市南区の「DX東寺劇場」

仕事場での日田邦男さん=京都市南区の「DX東寺劇場」

巨大なヌードの看板が立つ映画館の入り口=大阪市浪速区の「新世界国際地下劇場」

巨大なヌードの看板が立つ映画館の入り口=大阪市浪速区の「新世界国際地下劇場」

日田さんが制作したポスター。「かわいい」と踊り子にも人気だ

日田さんが制作したポスター。「かわいい」と踊り子にも人気だ

アトリエで筆を走らせる八条祥治さん=大阪市西成区

アトリエで筆を走らせる八条祥治さん=大阪市西成区

 社会風俗・民俗、放浪芸に造詣が深い、朝日新聞編集委員の小泉信一が、正統な歴史書に出てこない昭和史を大衆の視点からひもとく。今回は「ピンク看板」。

【写真】映画館の入り口に立つ巨大看板

ノーパン喫茶の例を引くまでもなく、風俗業界のイノベーションってのはだいたい関西で起きてきた。ブームは少し遅れて関東に伝播(でんぱ)する。関西人はエロい! いや、エラい! 発明するだけでなく、文化をしっかり守ってもいるのだ。

*  *  *
「昭和のストリップは、見る側にも経営する側にもエネルギーがあった。いま、それがあるのかなあ」

 四国の温泉にあるストリップ劇場で出会った支配人が、遠い目をしてそう言った。

 道路交通法や条例などの規制強化で、劇場を取り巻く状況はなんやかんやと厳しくなった。以前はポスターを電柱など街の目立つ場所に掲げることができた。踊り子たちの写真や名前を掲げた宣伝カーも白昼堂々と走っていた。

 スタッフみんなであれこれ言いながら、ポスターを作ったり宣伝文句を考えたり。その創意工夫が楽しかった。仕事冥利に尽きるとはまさにこのことである。昭和のストリップ史に詳しい江戸川大准教授の西条昇さん(52)が、こんなコピーを見せてくれた。

<見よ恐ろしき演技! 奥座敷の秘術 愈々(いよいよ)公開!>

 秘術とは何か。妙に気になってしまう。

<銀座の裏は日本一の「うふん」の本場です。どんな「うふん」か? 見逃すなかれ!>

 銀座といっても東京の銀座ではない。地方にも「○○銀座」と称した盛り場がある。これは東北地方の某劇場の宣伝文句。ショーのあいまに大衆演劇の上演もあったらしい。それにしても「うふん」とは……。ため息が聞こえてきそうで、なんとも艶っぽい。

 今回私が訪ねたのは、JR京都駅から徒歩十数分の距離にある老舗ストリップ劇場「DX(デラックス)東寺劇場」(京都市南区西九条猪熊町)。京都らしい風情ある低層の木造建築が並ぶ一角に、世を忍ぶかのようにひっそり立っているが、ここもまた立派な“歴史的建造物”である。

 地元の住民に劇場の場所を尋ねると、「お寺のほうですか、ハダカのほうですか」なんて答えが返ってくるとも言われるが、国指定史跡で世界遺産でもある大寺院の名を冠するとはなんとも大胆不敵。かつて京都の学生の間では「DX」に行ったか行かないかで周囲の見る目が変わったとか。


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