9条をいかに解釈するかは日本という国の生き様を映す大変重要なことです。いい加減な妥協はできない。独立国家として憲法で自衛隊が軍隊であることを明記しないと意味はない。私は戦後、憲法9条制定過程で挿入された自衛目的で戦力を保持することは可能であるという憲法解釈を昭和21年に導き出した芦田均による「芦田修正」の精神を受け継ぐべきと考えます。

 集団的自衛権についても、憲法には踏み込まずに、一定の制約を受けたまま安保法制でうやむやに済ませたことに対し、私と首相とは安保観に決定的な違いがあった。14年秋の内閣改造で防衛相兼安全保障担当相就任を打診されたのをお断りしたのも、それが一番の理由です。

 来年秋には総裁選があります。多くの役職、閣僚をやってきた政治家として「自分はその任にあらず」と言うのは責任放棄だと考える。総裁選で憲法改正が主要テーマになれば、堂々と持論を主張していく覚悟です。私の信念に変わりはありません。

週刊朝日  2017年5月26日号