一連の天下りあっせんについて、いま問題視されているのは旧文部省出身者だ。歴代次官も認識していたとされ、責任を追及されている。ただ、次官は旧文部省と旧科学技術庁のたすき掛け人事となっており、こんな怨嗟(えんさ)の声も漏れる。

「旧科技庁の天下り先のほうがよほど恵まれている。原発関連法人への再就職などは、社会的・道義的責任を考えれば、問題ではないか」(旧文部省OB)

 例えば、高速増殖原型炉「もんじゅ」を推進してきた元次官。退官後、有名私立大学に特命教授として再就職し、その3カ月後には副学長に就任。この間に、もんじゅの運営主体だった日本原子力研究開発機構の特別顧問に納まっている。もんじゅは、1兆円以上の事業費を投じながらトラブル続きでほとんど稼働せず、廃炉が正式決定したのは記憶に新しい。別の元次官も、電力会社や関連メーカーの業界団体の日本原子力産業協会の特任フェローの職に就いた。

 天下り問題に詳しい千葉大名誉教授の新藤宗幸氏が嘆息する。

「もはや無責任の体系というほかない。原発事故や核燃料サイクルの失敗の責任を問われることなく、関連法人に天下りしている。違法行為がなければ許される、というものではない。何がガバナンスか」

 他省庁も知らぬ顔を決め込んでいる場合か。問題の根は深い。

週刊朝日 2017年3月3日号