発達障害のピアニスト・野田あすかを救った恩師の言葉とは? (1/4) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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発達障害のピアニスト・野田あすかを救った恩師の言葉とは?

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週刊朝日#発達障害
初めての東京公演に臨んだ野田あすかさん(撮影/写真部・岸本絢)

初めての東京公演に臨んだ野田あすかさん(撮影/写真部・岸本絢)

 22歳になるまで障害のあることがわからなかった。いじめ、転校、退学、そして自殺未遂……。周囲に誤解され、戸惑いながらも、努力と感性で生きてきたピアニストが今、大きく羽ばたこうとしている。

 なんて幸せそうにピアノを弾くんだろう。1曲弾き終えるたびに、小さな手のひらで自分に、観客に、一生懸命拍手をする。光をたたえるような笑顔、やさしさあふれる音色……。

 ピアニスト野田あすかさん(34)のコンサートが10月19日、東京・王子ホールであった。東京では初めての公演だ。1部でショパンの「幻想即興曲」などクラシック5曲、2部で自作した5曲を演奏。アンコールでは「今の心境」を即興で曲にし、観客を魅了した。

 前日の取材で、あすかさんはこう語った。

「2部は自分で作った曲なので、『私はこんな人です』と自分を紹介するような気がします。この曲を聴いた人たちがちゃんと私のことを聴いてくれるかなとか、『へんてこりんな子だな』って思われないかなとかそんな緊張があります」

 へんてこりんな子──。あすかさんは幼い頃から周囲の誤解の中で生きてきた。

 1982年、広島県生まれ。4歳からピアノを習い始めた。母恭子さんの指導は厳しかった。和音を聞かせて「何の音?」と尋ねる。間違うと、「そうじゃない!」と叱られ、泣きながら鍵盤に向かっていた。

 父福徳さんの転勤に伴い、宮崎市に転居。小学校では、先生に校庭の草むしりを頼まれれば、一心に抜き続け、チャイムが鳴ってもやめずに怒られた。言われたことをやっているのに怒られる理由がわからなかった。「右向け右」と言われると、左を向いてしまった。みんなと同じことができない。でも、両親は「ユニークな言動は娘の個性」と思い続けていた。

 あすかさんは小学生時代に、すでにピアニストになることを夢見ていたが、中2の頃、自傷が始まった。高1でいじめに遭い、不登校になった。転校して元気を取り戻し、2000年に宮崎大学に現役で合格。だが、入学して間もなく人間関係のストレスからパニック症状に見舞われ、過呼吸の発作を起こして倒れるようになった。


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