「言い訳は御法度」の落語界は楽? 春風亭一之輔がその理由を明かす… (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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「言い訳は御法度」の落語界は楽? 春風亭一之輔がその理由を明かす…

連載「ああ、それ私よく知ってます。」

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落語界は「言い訳は御法度」?(※イメージ)

落語界は「言い訳は御法度」?(※イメージ)

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は、「説明責任」。

*  *  *
「何か言われたら、とりあえず『ハイ』と返事」

「絶対に言い訳はするな」

 噺家になってから師匠に言われたコトのいくつか。

 噺家は上下関係が厳しい。入門すると上の人から用を言いつけられたり、小言を言われたりの毎日。その時に「あの、それは……」などの言い訳は御法度。

 とにかく「はい!」か「申し訳ありませんっ!!」のどちらか。

「ペコペコしてないでなにか言いなさいっ!!」

 と怒る人もいるが、その気になってなんか言うと、

「つべこべ言うなっ!!」

 という結果になりがち。どうしろというのか?

 はじめは「なんて理不尽な」と思った。入門する前は「厳しい世界だ」「食えないぞ」とばかり言われたが、こんな社会だなんて具体的な説明は一切なし。入ってから理不尽さを理解していく。最初はしんどい。

 でもしばらくすると、これがお互いにとって楽なことに気づいていく。細かいコトはさておき、基本的にお互い思考停止でよいのだから、楽なのだ。

「察しろよ。俺はお前より上。偉いのだ」
「はい、さいでござんす!」

 だから口では謝っていても、腹の中では舌を出してることも多い。私はしょっちゅうだ。

 そんな調子なので、自分が怒る立場になると、「こいつは反省してるな」とか「この野郎、まるでこたえてないな」とか判別がつくようになる。

 反省してないヤツに限って、言い訳をさせると急に能弁になって、「実はですねーっ!!」とまくし立ててくる。だから、

「うるさい、お前の意見なぞどーでもいいっ!」

 と言いたくなるのだ。上の人の気持ちがよくわかった。

「自分が悪いんです!」とひたすらに平身低頭。これに限る。

 落語の登場人物たちも同様だ。貧乏長屋の住人は、滞った店賃を大家にとがめられても、

「頭を下げておきゃ、小言は上をツーッと通らぁ」

 とうそぶいてペコペコする。大家も一度怒ってそれっきり。


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