津田大介「ジャーナリズム支える『寄付』への期待」 (2/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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津田大介「ジャーナリズム支える『寄付』への期待」

連載「ウェブの見方 紙の味方」

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 今後ジャーナリズムを巡る経済的な環境が改善する見込みはあるのだろうか。実は、寄付でジャーナリズムを支える成功例がここ数年少しずつ出てきている。その一つが、報道したい内容を事前に提示し、クラウドファンディングで制作費を集める方法だ。2013年7月に発売された『チェルノブイリ・ダークツーリズム・ガイド』(東浩紀編、筆者も参加)では、8人分のウクライナへの渡航取材費用をクラウドファンディングで集めた。集まった費用は600万円超。手前みそだが、独立系の小さな出版社であってもマスメディアと同じレベルの海外取材が実現できたことは大いに勇気づけられた。

 クラウドファンディングの大手・モーションギャラリーではジャーナリズム専用のページが用意され、さまざまなプロジェクトが資金を調達中だ。その中には朝日新聞社の姿もあり、241万円を集めて成立させた。10年前ならば考えられないことだ。

 調査報道などの良質なジャーナリズムを実現するのはコストがかかるが、それ自身がコストを回収できるだけの収益を生み出すケースはほとんどない。こうした「寄付」でジャーナリズムを成立させる取り組みには期待がかかる。今後の動きに注目したい。

週刊朝日 2016年7月22日号


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津田大介

津田大介(つだ・だいすけ)/1973年生まれ。ジャーナリスト/メディア・アクティビスト。ウェブ上の政治メディア「ポリタス」編集長。ウェブを使った新しいジャーナリズムの実践者として知られる。主な著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)

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