本誌(7月8日号)のスクープにより、森山裕農水相ら自民党「大物」議員が業界団体からTPP交渉中に現金を受け取っていたことが発覚した。市民団体が農水相らを告発する動きもある。さらに、新たに現金を受け取っていたもう一人の自民党農水族議員の名前も明らかになった。
「もう、週刊朝日が発売される前から協会は大騒ぎでしたよ。幹部は『こんなのが出たらどうなるんだ』『やっぱりバレたか』と大慌て。発売後は会員から問い合わせが来たり、一般の人から抗議があったりで、職員は対応に追われたそうです」(日本養鶏協会の理事)
本誌は先週号で、森山農水相、西川公也元農水相、宮腰光寛衆院議員(自民党)の3人が、昨年のTPP(環太平洋経済連携協定)交渉中に養鶏協の栗木鋭三会長から現金を受け取っていたことを報じた。
その結果、養鶏協は農水省などから年間数十億円の補助金を受けているにもかかわらず、自民党議員に現金を手渡していた疑惑が浮上。発売前からメディア関係者に記事の内容が広まり、28日の農水相会見では、現金の授受について質問が相次いだ。追及を受けた森山氏が明らかにした中身は、昨年9月28日に栗木氏から「餞別」として現金20万円を受け取り、すでに返金したという。
だが、先月24日に本誌が森山氏の事務所から受け取った回答書には、〈(現金は)返金しているところです〉と記されていた。事実関係を聞かれた森山氏は、現金を受け取った直後に事務所スタッフに返金を自ら指示したが、実際に返金したのは翌年2月で、その際、栗木氏は海外出張中だったという。
遅れた理由は「事務所の人間が少し失念していたのかもしれません」(森山氏)と説明したが、返金まで4カ月以上かかっており、釈然としないものが残る。
一方の当事者である養鶏協の事情を聞くと、本誌の報道後の対応に関係者が苦慮していたことがわかる。前出の理事が言う。
「栗木会長が海外出張中であることを理由に『何もしゃべるな』『ノーコメントだ』と、逃げの対応ばかりしている」