あさの姉はつ(宮崎あおい)の未来も気になるところ。モデルの三井春は20代の若さで亡くなっていて、視聴者は「はつは死ぬのか?」と気をもんでいる。

「企画当初から、事業で成功したあさと地に足をつけて生きるはつ、という対比は絶対描きたいと考えていたので、史実とは違って早世はしませんよ」(佐野氏)

 今後もはつの姿は見られそうだが、気になる指摘も。

「はつの登場する場面は実は死後の世界なんじゃないかという解釈が一部であるんです」(成馬氏)

 近代化に向かう中で、農村で暮らすはつの周辺だけが現実から切り離されているように見えると言うのだ。それについて佐野氏は、

「まるで都市伝説ですね(笑)。和歌山のみかん栽培の歴史の取材もしましたし、当時の市井の人もちゃんと描いていますよ」

 思いがけぬ論争からびっくりぽんな解釈まで、次は何が飛び出すだろうか。

(本誌取材班=上田耕司、亀井洋志、小泉耕平、永井貴子、長倉克枝、永野原梨香、鳴澤大、西岡千史、秦正理、林壮一、牧野めぐみ、松岡かすみ、山内リカ/今西憲之、菅野朋子、岸本貞司、桐島瞬、柳川悠二)

週刊朝日 2016年1月1-8日号