「『グリーン・ポルノ』という作品を彼女が作ろうと思った根底には、ご両親のことが影響しているんですね。有名な映画監督と大女優の間に生まれて、ずっと“あなたは親を越えられない”と言われ続けた。でも、生殖行為の進化の過程について学ぶことで、“自分は親よりも進化しているからこそ、ここに生まれ、ここに生きているんだ”と思うことができたと、彼女はインタビューで答えています。イザベラさんには、私なんか足元にも及びませんけど、命に感謝し、今を懸命に生きていることは共通しているのかな、と感じました。私も、20年前に阪神大震災を経験し、命の尊さを知ったことが、親元を離れて、夢を追いかけるために上京するきっかけになったので」

 生きていくことは大変だけれど、生まれてきたことは、とても尊いことだと思っている。だから、生きていることへの感謝の念があれば、どんなことも乗り越えていけるんじゃないかと思うのだそうだ。

「私は、俳優の仕事以外にも、司会、モデル、リポーター、声優などもします。人道支援活動に携わるのも、ご縁があってのことですし、現地を訪れると、湧き上がるメッセージを伝えなければという気持ちになり、自然と体が動きます。そんなメッセージを受け取ってシェアしていただけるのであれば、肩書なんてどうでもいいかなと思っています。一つ言えるのは、人でも場所でも作品でも、常に“出会い”が私を前に進ませてくれるということなんです」

週刊朝日  2015年11月6日号