ジャッキで1両約34トンの車体(N700系)を上げ、手押しで台車を抜き取る。車体は仮台車に載せる(撮影/写真部・東川哲也)
ジャッキで1両約34トンの車体(N700系)を上げ、手押しで台車を抜き取る。車体は仮台車に載せる(撮影/写真部・東川哲也)

 1872年10月14日、新橋─横浜間に日本初の鉄道が開通し、1994年に「鉄道の日」と制定された。今年、山陽新幹線は全線開業40周年を迎え、熟練作業員による厳密な点検が、新幹線の高速運行を支えている。

【博多総合車両所フォトギャラリー】

 人間と同じように新幹線にも“定期検診”がある。走行距離や時間ごとにさまざまな検査があり、搭載機器を取り外し、機器や車体内外を細部まで徹底的に点検する「全般検査」は最大規模の検査だ。走行距離120万キロ以内または3年以内に実施され、16両編成で約17日間、8両編成で約13日間かける。

 JR西日本で各種検査を行っているのは博多総合車両所。敷地面積約33万平方メートル、全長2.4キロという広大な敷地に巨大な検修棟が並び、約2千人の作業員が、分解された新幹線の車両を徹底的に検査する。

 車両所内は、大型機械の作業音以外は意外に静か。真剣な表情で五感を研ぎ澄まし、丁寧かつ緻密な検査、補修等を行う作業員らは徹底したプロ集団だ。こうした作業の積み重ねによって、車両の機能を新車に近い状態にまで回復させ、新幹線の安全運行を支えている。

週刊朝日 2015年10月23日号