今井さんの歌声、話すときの表情は、今も、以前とまったく変わらない瑞々しさと透明感に溢れている。

「正直言うと、“あの頃と変わらないね”って言われることは、何か成長していない感じがして、取り立てて嬉しいと思えなかったんです。でも、最近、たまたま25年前のアルバムを聴いたときに、“声、同じだ”と思った(苦笑)。自分の声の“瑞々しさ”みたいな部分を封印して、たおやかさやふくよかさ、スモーキーな感じとかを出したかったのに、今回のアルバムは、この声しかオッケーが出なかった。『どんなにジタバタしても、私の声はこれなんだ』と気づけたのは、大きかったです。とはいえ、歌ではこれからもジタバタしていくんでしょうけれど(苦笑)」

 夫である布袋寅泰さんが、50代への突入を機にロンドンに渡ると言いだしたとき、最初、「私はどうすれば?」と戸惑ったという。ところが、いざロンドンで暮らし始めると、家族が一致団結し、絆も強くなった。

「布袋さんは、“僕は家族を幸せにしたい”って、ずっと言ってました。幸せの定義は人それぞれだけど、家族で過ごす時間が増えたことは、大きな幸せの一つ。今は、“こんな素敵な旅を続けさせてくれて、ありがとう”って思います」

週刊朝日 2015年7月17日号