安倍応援団として安保法案の重要性を発信し、総裁選の無投票再選の機運も高めるはずだったタカ派勉強会の大崩壊。かたや細々ながら存在感を保っている勉強会もある。5月にハト派議員らで発足させた「過去を学び『分厚い保守政治』を目指す若手議員の会」だ。

 先月25日の第5回勉強会には安保法案に批判的な漫画家の小林よしのり氏を呼ぼうとしたが、党から圧力がかかり急きょ中止に。7月1日に再開した会では、政治学者の御厨貴氏が保守政治のあり方について講演し、21人が出席した。メンバーの一人が言う。

「小林氏の回は、直前に党幹部から『法案成立に向けて団結すべきときに、なぜ小林氏を招くんだ』といった圧力が、武井俊輔共同代表にあったようです。会の一員である福田達夫衆院議員も怯(ひる)んで同調した。『国会会期中は休止すべきだ』との意見も出たが、『識者や戦争体験者から話を聞くことは重要』『屈してはならない』との意見が多く、継続となった」

 なんとも頼もしい“ハト”たち。今後は元沖縄県知事の稲嶺惠一氏を講師に招く計画もある。ライバルの「タカ派勉強会」が沖縄批判でミソをつけただけに、大きな注目を集めそうだ。政治評論家の浅川博忠氏は言う。

「ハトの会の背後には首相に批判的な古賀誠元幹事長がいるとみて、官邸も警戒を強めています。今後も講師の人選に口を出し、スパイ議員も送りこんでくる。メンバーの切り崩しもしてくるでしょう。一方で、党内の自由な議論を封じ込める今の官邸のやり方に、嫌気がさしている議員も多い。『ハトの会』を支援する人も出てくるのでは」

 長く続いた“アベ1強”状態も、いよいよ終わりか。

(本誌・長倉克枝、一原知之、永野原梨香/岸本貞司)

週刊朝日 2015年7月17日号