しかも、業績が大幅に伸びている企業の中には、株主にもその“おすそ分け”をするところがある。多くの企業は、利益の一部を配当として株主に還元している。良心的な企業は、利益が増えた分だけ、株主への配当金を増やしてくれるのだ。つまり、増配である。

 増配を行う企業は、株式市場でも高く評価される。たとえば、株主を軽視していると批判されがちだった、産業機械メーカーのファナックが増配などを検討すると3月中旬に報道されると、同社の株価は過去最大の上げ幅となり、上場来高値を更新。さらに、配当に関して具体的な目標値を発表した際にも急騰した。

 せっかくなら株価が上がる前に、いち早く増配銘柄を手に入れたいものだ。そこで、今回スポットを当てたのが「これから増配する可能性が高い銘柄」である。まず、金山さんにピックアップしてもらったのは、3月期決算で、10期以上も連続で増配を続けてきた企業だ(下の表)。

 むろん、「今後も必ず増配すると保証しているわけではない」(金山さん)。しかし、これらはいい意味での“常習犯”だ。

◇10期以上連続で増配している企業(銘柄名/連続増配記録/株価[円]/配当利回り[%]/どんな企業?)
科研製薬/13期/4175/1.39/製薬会社大手。ジェネリック(後発)医薬品も手掛ける
SPK/17期/2340/2.61/自動車の補修・車検部品などの専門商社。建設機械の建機組み付け部品も取りそろえる
ユー・エス・エス/17期/2108/1.76/中古車オークションのトップ企業。買い取り専門店「ラビット」を全国展開
小林製薬/16期/8010/1.15/ユニークな商品名の家庭用品など製造。芳香消臭剤で首位。今期の増配もすでに発表
リンナイ/13期/9040/0.84/給湯器などガス器具でトップシェア。中国や米国など海外市場でもシェア獲得を図る
シスメックス/13期/6530/0.49/日米などで、検体検査機器・試薬を展開。血球計数装置で世界首位級のシェア
芙蓉総合リース/13期/4850/1.61/みずほFG系の総合リース会社で業界5位。情報関連・事務機器や不動産などのリースが得意
東京センチュリーリース/13期/3765/1.7/みずほFG系のリース大手。LCCのジェットスターに出資し、航空機リースに注力
三菱UFJリース/16期/638/1.29/旧三菱系と旧UFJのリース会社が合併し、国内首位級のシェアに
トランコム/14期/5630/1.21/名古屋が本拠の総合物流会社。センター受託、物流情報サービス(求貨求車)などを展開
KDDI/13期/2856.5/1.87/携帯電話の「au」が主力。ケーブルテレビ最大手のJCOMを連結子会社化
沖縄セルラー電話/13期/3680/2.28/KDDI傘下の総合通信会社で、沖縄県における携帯電話のトップシェアを誇る
サンドラッグ/13期/5830/1.03/東京西部に強い大手ドラッグストア。九州・中国・四国でディスカウントストアも展開
注:株価は5月1日の終値

週刊朝日  2015年5月22日号より抜粋