※イメージ写真 @@写禁
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 死刑囚6人と接見した「オウム真理教家族の会」の永岡弘行会長(76)がその長い道のりを振り返る。

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 東京拘置所で土谷正実、新実智光、井上嘉浩、中川智正、林泰男、端本悟と会いました。

 拘置所の土谷は最初は何も話さなかったが、やがて「後悔している。両親に会いたい」ということを言いだした。それで、うちの家内が土谷の母親に会いに行ったんですが、「あの子には会いたくない」とおっしゃった。その後、土谷には彼女ができて、獄中結婚しました。戸籍上結婚していないと、会うこともできないんですね。彼女とも私は長時間話をしたことがあります。結婚生活は3~4年は続いたが、彼女からある日、「アメリカへ行きます」と電話がかかってきた。数年前に離婚したようです。

 新実とは何度も会っています。麻原をまだ、尊師と呼んでいる。高橋克也被告の公判に証人として出廷したときも、オウムのころから着ていたサマナ服でした。接見したときも、「親はお前を心配してるんだぞ」と言っても、黙して語らず、そういう感じになってしまいましたね。井上は拘置所で自殺を図ったことがあるんです。彼は房内で眠れなくなって、睡眠薬をもらっていて、それを一生懸命ためて、一気に飲んで自殺を図った。私は驚いて、飛んでいきましたよ。「卑怯なことをするな。生きて償うほうがもっとつらいんだぞ」と叱ったら、唇を噛みしめて「わかりました」と答えた。何が好きか聞いたら「オートバイが好き」と言うので、バイクの雑誌を差し入れました。彼は2年くらい前まで、短歌を作って、私に送ってきていました。昨年、証人として井上が裁判に出廷したとき、彼のお父さんが会いたいと言うので、会ったことがあります。お父さんはただただ「申し訳ない」と言うばっかりでしたね。

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