昭和のくらし博物館所蔵の羽子板(右上)やメンコ(下)、カルタ(左上)。館長の小泉さんは生活史研究科でもあり、最近は「昭和の結婚」(河出書房新社)を上梓(撮影/写真部・岡田晃奈)
昭和のくらし博物館所蔵の羽子板(右上)やメンコ(下)、カルタ(左上)。館長の小泉さんは生活史研究科でもあり、最近は「昭和の結婚」(河出書房新社)を上梓(撮影/写真部・岡田晃奈)

 調査・マーケティング会社の株式会社イード(東京都新宿区)が、小学生以下の子どもを持ち、かつ親と離れて暮らす20~50代の親を対象に実施した「祖父母と孫のコミュニケーションに関する意識調査」によると、13年から14年の年末年始に「子どもを連れて帰省する」と答えた割合は7割にのぼった。やはり今も昔も正月は3世代で過ごすケースが多いようだ。

 迎え入れる祖父母も、孫と会えるのを心待ちにしている。“祖父母力”を子育てに生かそうと取り組むNPO法人「孫育て・ニッポン」の理事長ぼうだあきこさん(46)は、シニア世代を対象とした孫育て講座などを開く。孫と会うのを楽しみに待つ参加者から「『公園でボール遊びをしたい』と言われても大丈夫なように体力をつけておかなくちゃ」といった声が上がるほか、夫婦でスポーツジムに通い始めたというケースも。

「お孫さんが来ることが、生きがいだけでなく、健康づくりのモチベーションになっています」

 では、この正月、どんな遊びを楽しめばいいか。

 正月遊びといって思い出すのは「もういくつ寝ると、お正月~」で始まる童謡「お正月」だろう。歌詞の1番は「凧を揚げ、コマを回す」、2番は「毬をついて、羽根つきをする」といった正月ならではの遊びが登場する。コマや凧、けん玉、お手玉など昔から続く日本の伝承遊びを研究する日本独楽博物館(名古屋市港区)の館長、藤田由仁さん(71)は、「諸説ありますが、正月の遊びは縁起を担いだものが多い」という。

「たとえば、“福笑い”は“笑う門には福来たる”から来てますし、コマも真ん中の心棒が金物であることから“辛抱すると金が入ってくる”として、縁起ものとされていました」(藤田さん)

 羽根つきの羽根は病気を運ぶ蚊を食べるトンボに似ているため、子どもの無病息災を意味し、顔に墨を塗るのも厄除けから始まったという。すごろくも最後は“あがり”となり、出世を祈願していたとの説がある。

 こうした“うんちく”もときには披露しつつ、孫と遊ぶのも楽しいだろう。藤田さんのオススメは[1]コマ回し[2]けん玉[3]毬つきの三つ。これらに共通する特徴は「少し努力(練習)をしないとできない」「決まりが少なく遊び方を工夫できる」(同)部分だ。同じ道具でも、技の難易度を変えれば、小さい子も年上の子どもも楽しめる。一緒に遊ぶ祖父母が孫の様子をうかがい、遊び方を工夫したらいい。

「ちょっと難しいというレベルの技に挑戦していく。こういう遊びのほうが好奇心をそそりますし、飽きないで続けられます。お孫さんは気付かないでしょうが、努力や忍耐、根性などが身につきます」(同)

週刊朝日 2015年1月2―9日号より抜粋