ドラマ評論家 クドカンの“男子校的な感性”を批評 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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ドラマ評論家 クドカンの“男子校的な感性”を批評

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週刊朝日#ドラマ

 ドラマ評論家の成馬零一氏が脚本家・宮藤官九郎の手によるドラマ『ごめんね青春!』の今後の見どころを占う。

*  *  *
 共学? それとも男子校?

 男同士で学生時代を振り返る時、もっとも盛り上がる話題である。

 ちなみに僕は男子校。当時は深く考えずに決めてしまったが、今、振り返ると、人生を大きく変えてしまう究極の選択だったのかもしれない。

 男子校は男同士で気楽だが、思春期の一番異性に関心がある時期に女っ気がなかったというのは、その後、深い後悔を抱えることになる。

 実際、学生時代を同性だけで過ごした人と共学だった人の間には、どこか異性に対する考え方が大きく違うような気がする。自分も含めて、男子校出身者は、女性に対して過度な幻想を抱く一方で幻滅しやすく、上手く距離感を掴めない側面がある。

 もちろん男子校でも普通に彼女がいた同級生はいたし、共学でも彼女がいなかった奴もいただろうから、最終的には人それぞれだ。それでもあの当時、同じクラスに女の子がいたら全然違う青春が楽しめたかも、と時々考えてしまう。

 TBSの日曜劇場で始まった『ごめんね青春!』の主人公、原平助(錦戸亮)は、そんな想いを抱えたまま出身高校の教師になってしまった男だ。物語の舞台になるのは静岡県三島市にある仏教系の男子校。隣接するカトリック系の女子校とは何度となく合併が噂されていたが、女子校の経営難からついに合併することになる。

 まずは平助のクラスだけ、女子生徒と合同授業を行うことが決まる。そこで平助は蜂矢りさ(満島ひかり)という女教師と出会うのだが、実は平助と彼女には深い因縁があった……。

 脚本は昨年、連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)で大ブレイクを果たしたクドカンこと宮藤官九郎。

『あまちゃん』から1年ぶりとなる本作は、宮藤の古巣と言えるTBSで、盟友・磯山晶プロデューサーと共に手がける初の学園ドラマだ。

『池袋ウエストゲートパーク』『木更津キャッツアイ』『タイガー&ドラゴン』など、2000年代に数々の名作を送り出してきた宮藤×磯山コンビの新作は、多くのドラマファンが待ちわびていたものだ。

 元々、宮藤は、男女の恋愛よりも、男同士がワイワイやって盛り上がるような仲間同士のどんちゃん騒ぎを描くのが上手い脚本家で、極めて“男子校的な感性”の持ち主だと言える。

もっとも『あまちゃん』では、逆に祖母・母・娘という女系家族を中心に、海女クラブのコミュニティや女友達、アイドルグループの人間関係を面白おかしく描いていたので、男子校的というよりは、同性同士でいる時の心地良さが好きなのだろう。

 一方、同じ宮藤×磯山コンビ作品でも『マンハッタンラブストーリー』や『うぬぼれ刑事』といった恋愛を中心に据えた作品では、男性から見た女性の得体の知れなさが全開となっていた。本作でも、平助の失恋の思い出や、女子生徒たちとのファーストコンタクトが強烈に描かれていて、今後の波乱を予感させる。

 また、平助が、学生時代のある事件をきっかけに地元に縛られているという設定も気になる。宮藤はマイルドヤンキーと呼ばれるような「地元から出ずに学生時代の人間関係に充足している若者たち」を先駆けて描いてきたが、平助にとっての地元をどう描くのかも見所だ。

 共学だった人や男子校だった人はもちろんのこと、女子校出身の女性も、自分の青春時代を思い出して、楽しめるドラマである。

週刊朝日  2014年10月31日号


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