丸山茂樹が日本人アスリートにダメ出し「頑張るだけです」じゃ… 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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丸山茂樹が日本人アスリートにダメ出し「頑張るだけです」じゃ…

連載「マルちゃんのぎりぎりフェアウエー」

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週刊朝日#丸山茂樹
さあ、どう攻めましょう (c)朝日新聞社 

さあ、どう攻めましょう (c)朝日新聞社 

 これまで日本のみならず欧米でも活躍してきたプロゴルファーの丸山茂樹氏。そんな丸山氏は、欧米の考え方の違いをゴルフで如実に感じてきた。

*  *  *
 秋ですね~。芸術の秋、読書の秋、食欲の秋、そしてスポーツの秋。もうなんでもありの季節です。なかなかいいじゃないですか。

 今回は僕がゴルフを通じて、これまでに感じてきた日本と欧米の考え方の違いに触れたいと思います。

 2000年から米PGAツアーに本格参戦して5年ぐらいたったとき、メンタルトレーニングの分野も知っといた方がいいかと思って、日本の専門家に話を聞いたことがあるんです。

 ちょうど僕自身がドライバーのイップス症状を感じ始めたときでした。自分が「嫌だな」と思うシチュエーションに来ると、体が過剰に反応して、ショットに影響が出てたんです。どうしたらいいんだろう、と。

 そしたら、その専門家が僕に聞くんです。「左に池があるコースがあるとします。どう攻めていきますか」って。「そりゃ左に池があるんだから、まず右へ打っていきます」と返したら、これが日本人の特徴だと言うんですね。「左へ打っちゃダメだから」と、否定から入るところが。

 同じ問いに欧米人の多くはズバリと、「打っていくだけ」って言う、と。否定から入ったりしないそうです。その意識の違いがどこまでプレーに影響しているのか分かりませんけどね。

 僕は、否定から入りがちってのは、日本人が謙虚さや遠慮みたいなものを重んじる部分につながってるような気がしました。

「謙虚」「遠慮」を大事にしすぎるあまり、日本のアスリートのコメントは「頑張るだけです」の一点張りだったりする。

 欧米の選手でよくあるのが、例えば全盛期のタイガー・ウッズのような選手に追い上げられてても、「自分だって調子はいいんだ。タイガーにだって100回やって100回負けるわけじゃないぜ」なんて言ってのける。

 日本人は自分がそういう発言をすると、「あいつ何強がってるんだよ」なんて言われると思ってますからね。だから、たとえ自信があったとしても、つくったようなあまのじゃくな言い方で、「頑張るだけです」になっちゃう。ここはもう、決定的に欧米と違う部分ですよね。

 でもね、「謙虚」「遠慮」を大事にするのはいいことだと思うんです。僕はそこを前面に出すことで、笑いにつなげました。欧米のメディアから、さっきの「タイガーに迫られていますが」みたいな質問をされたときに満面の笑みで、

「ノーチャンス!」

 って返すんです。ウケる、ウケる。そりゃもう、欧米人が大爆笑ですよ。

 あと、さっきの話とも関連しますけど、欧米の人は言葉で気持ちを盛り上げていくのが得意ですよね。以前、米国選抜と世界選抜(欧州を除く)の団体対抗戦「プレジデンツ杯」に参加したときのこと。グレッグ・ノーマン(豪州)が試合前、世界選抜のみんなの前で言ったんです。

「俺たちはいままでそれぞれ、いろんな苦労をしてやってきた。それが正しかったことを証明しよう」

 日本だと、「ここまできたんだから気楽にいこうぜ」なんて言っちゃう人もいますけどね。向こうの人たちは「俺たちならできる」というニュアンスのことを、よく言うんです。決定的に違う部分ですよね。

週刊朝日  2014年10月31日号


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丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表ヘッドコーチを務める。19年9月、シニアデビューした。

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