男性だけでなく、女性にも加齢にともなって増える「髪の悩み」。特に閉経後の女性は、女性ホルモン・エストロゲンが激減するため、薄毛だけでなく、髪のハリやコシが失われ、切れ毛や枝毛、折れ毛が増えることにも悩まされる。どのように防げばいいのだろうか。ライターの伊藤あゆみ氏が、毛髪診断士・理学博士で皮膚臨床薬理研究所相談役の北澤秀子氏に聞いた。

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「髪は爪と同じ『死んだ細胞』なので、一度傷ついたら元に戻ることはありません。『髪を修復する』『よみがえらせる』などとうたったヘアケア製品が市販されていますが、『死んだ細胞』にできることと言えば、実際は表面をコーティングするだけ。それならリンス類で十分です」

 にもかかわらず、傷んだ髪にいろいろな成分を塗りたくっていると、ますます傷みがひどくなる可能性がある。それよりも、ブラッシングをして頭皮から出た皮脂を髪全体に行き渡らせるほうが髪のためには良いと北澤氏は語る。皮脂は独自の天然クリームだから安全なのだとか。

「最近はブラッシングをする人が少ないようですが、頭皮の血行を良くするためにも、シャンプー前に髪の汚れやもつれを取るためにも、良い習慣なんですよ。頭皮が乾燥しているときは、指先に化粧水を付けて頭皮にもみこんでからブラッシングすれば、髪全体が自然と潤います。ただし、クリーム類は毛穴をふさいでしまうので、サラッとした化粧水を使ってください」

 さらにブラシは毛先が丸いもの、クッション性の高いものを選ぶことが大切だ。ブラッシングが効果的と言っても、刺激が強すぎては頭皮を傷つけてしまう。また、髪に摩擦が起こらないように、ブラシの目は粗いほうがいい。

 ほかにも、ドライヤーを当てるときはなるべく髪から離すこと、紫外線を避けることなどが髪を傷めないポイントだ。髪は「死んだ細胞」なので、痛みも熱さも髪で感じることはない。それだけに、刺激を与えていないか注意する必要があるのだ。

週刊朝日  2014年3月28日号