円形脱毛症のほとんどは脱毛箇所が一つだが、数カ所に増えるものや頸部全体に及ぶもの、さらには全身の体毛が脱毛するものまでさまざまだ。近年では、注射などの標準治療に加え・難症例に効果的な治療やウイッグによる対処法も進化してきた。

 円形脱毛症の原因は、はっきりとわかってはいない。遺伝の影響は大きく、ストレスが原因といわれることも多いが、喜ばしい出来事が起こっている最中に発症する人もいる。結婚や引っ越し、就職、進学など、環境が変化するタイミングで発症する人もいれば、風邪を引いたり、インフルエンザに感染したりした後に円形脱毛症が見つかるケースもある。

 発症そのものは、ウイルスなどを退治する血液中のリンパ球が、毛根にある色素細胞を外敵と間違えて攻撃することによるといわれている。そのため、男性ホルモンの影響とされる通常の薄毛、ハゲなどとは、毛根や脱毛した毛の状態が異なる。

「円形脱毛症を起こしている部分の頭皮を拡大鏡で見ると、毛が毛根に埋もれた黒点や、根元が白い毛や折れて切れた断毛が多くあることがわかります。自分で毛を引っ張って抜いてしまう『抜毛症(トリコチロマニア)』や二度と毛が生えてこない『瘢痕(はんこん)性脱毛症』と似ていることがあるので、診断で重要なのは症状を見極めることです」

 東京医科大学病院皮膚科の入澤亮吉医師はそう話す。診断の結果、円形脱毛症と判断したら、まずは進行状況を確認する。

「進行中は黒点や断毛が多くあります。それがやむと、毛穴は休止期という休み期間に入ります。その後、成長期に入ると毛が生えるようになります」(入澤医師)

週刊朝日  2014年2月21日号